今をさかのぼること13年前、2003年2月7日に当時の竹中平蔵経済財政担当大臣が記者会見で「ETF買いましょう。絶対儲かります」と発言したことが大きな話題になった。

ETFは元本が保証されない金融商品である。よりによって金融市場を監督する内閣府特命担当大臣が特定の金融商品の有利性を喧伝し、あろうことか「絶対儲かる」と発言したのだ。仮に証券外務員である証券会社の販売員が顧客に対し断定的な判断を行うことは違法行為だ。当時は「ETFって何だ?」と言う人もまだまだたくさんいた。10年以上の時間が経過し、ETFは投資家にも認知される存在になった。

ETFとは「少額でも日経平均株価を保有できる」商品

ETFとは、「Exchange Traded Funds」の頭文字をとったもので、証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託だ。たとえば代表的な商品として、「東証株価指数(TOPIX)」や「日経平均株価」に連動するETFなどがある。こうしたETFは、TOPIXや日経平均株価の値動きとほぼ同じ値動きをするように運用されている。こうしたETFを保有することでマーケット全体に投資をおこなう、つまり、少額からでも日経平均株価を保有することができる。

ETFのメリットは?

では、ETFにはどのようなメリットがあるのだろう。ETFは個別株を購入するのとは異なり複数の銘柄に分散投資を行うという点では投資信託と同じだ。しかし、一般的な投資信託とは異なり、ETFは証券取引所に上場され、市場で売買されている。そのため、上場株式と同じように市場が開いている間は、いつでもETFの売買を行うことができる。一般的な投資信託では「ブラインド方式」と呼ばれ、売買の値段は、購入や解約を申し込んだ時点ではまだ決まっていない。投資信託をいくらで買えたのか、いくらで売れたのかは事後的にしか分からない。

一方、ETFの注文方法は上場株式と同じで、「指値注文」や「成り行き注文」ができるほか、「信用取引」を行うことも可能だ。このように多彩な注文方法を選択できる点ではETFのメリットは大きい。そして、投資家にとって最も大きいETFのメリットはコストの安さだ。販売会社を経由しないことから、ETFは一般の投資信託と比較して、販売手数料や信託報酬などのコストが低く抑えられているのだ。

多様化するETF 売買高も10年で10倍

現在、東京証券取引所には195本ものETFが上場されている。竹中大臣が問題発言を行った03年には19本しか無かったことを思うと、隔世の感だ。15年12月の内国ETFの売買は1ヶ月で5兆円を超えている。10年前には5000億にも満たなかったのだから、売買高は10倍に膨れあがっていることになる。

かつては株価指数に連動するシンプルなものが主流であったが、今や投資対象は多岐にわたっている。日本株でも市場や規模、業種、テーマ別に銘柄を選択しているETFもある。カバードコール戦略を取るような変わり種もあるし、REIT、外国株、外国債券、商品に至るまでその種類の多さに驚かされる。

なかでも最近注目を集めているのがレバレッジ型やインバース型のETFだ。レバレッジ型とはその名の通り投資対象となるTOPIXや日経平均株価の2倍の値動きを目指すといったものだ。インバース型とは投資対象とは逆の値動きを目指すものだ。

NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> はあまりの人気で信託金額が設定限度額に迫り、一時は新規の申込を停止したほどだ。相場の上昇時は勿論、下落時にも逆張りを好む個人投資が積極的にこのETFを売買し、東証の売買高トップとなることも多い。

リスクをとる投資家、ETFの3階建て投資へ

ETFが投資家の注目を集め、銘柄、売買高とも順調に増加している。しかし、全てのETFが順調に残高を伸ばしているわけではない。なかには純資産残高が少なく流動性が低いものがあるのも事実だ。流動性が低いと言うことは、いざという時に思った値段で売却できないというリスクもある。

存在感を増すETFについて日銀は1月14日付で「最近のレバレッジ投信の動向について」というタイトルのリポートを出している。個人投資家は相場の流れに逆らって投資する「逆張り戦略」を取るケースが多いといわれる。昨夏の中国ショックの際には個人投資家が株式相場の急落局面でレバ型ETFを買い、それが相場下落の歯止めになったとされる。ところが、1月の相場下落時には様子が違っていた。レバ型ETFを現金で購入していれば、どんなに株価が下がっても耐えられる。

しかし、信用取引では評価損が拡大したり、決済期日が近づけば、追証や反対売買を迫られることになる。通常、相場が反転するタイミングでは出来高が急増する。それにもかかわらず今回は様子が違っていた。

今回の相場の下落局面では、含み損に耐えられなくなった個人が売りに回った可能性がある。当初は逆張り戦略で買い向かった投資家が、想定以上の値下がりに、最終的にはレバレッジをかけたポジションを急速に巻き戻さざるを得なくなったと考えれば説明がつく。レバ型ETFを信用取引で買う、いわゆる3階建て投資はこれまで以上に個人投資家のリスク許容度を引き下げている。そして、相場全体がこれまでの常識とは異なった動きを取るようになっていることに注意が必要だ。(ZUU online 編集部)

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