晩婚化が進んでいる中、30代夫婦のご相談で多いのが生命保険についてだ。結婚して子どもが誕生すると学費はどうやって準備するか、住宅購入をどうするか、年金も不安で老後の心配もある中で、バランスを考えながら保険も選んでいく必要がある。今回は、様々なニーズがあるなかで、30代夫婦が検討したいおすすめの生命保険について目的別に考えていきたい。
死亡保障でおすすめの2つの保険とは
1、残された家族を守る「収入保障保険」
一家の大黒柱が万一の時、家族を守る生命保険というと「万一の時3000万円」という大きな保障が一時金でもらえる保険のイメージが強いが、最近は必要な保障を必要なだけ掛ける「収入保障保険」が主流になってきている。
いわゆる自分で用意する「遺族年金保険」である。厚生年金で給付される遺族年金は、死亡した人の収入・残された子どもの年齢や人数・妻の収入などでもらえる金額が決められる。子どもが大学入学を迎え、お金が必要になる18歳を超えたとたん、かなり遺族年金給付額が減ってしまう。
おおよその金額の例であげると、標準報酬月額(月平均どれだけの報酬があったか)30万円で妻と18歳以下の子ども一人の家族がいる方に万一のことがあった場合、子どもが18歳の学年末までは、月約12.5万円の遺族年金が支払われるが、18歳の学年が終了後約4万円に減ってしまう。
一方、収入保障保険は、決めた金額を決めておいた期間まで同額遺族に支払われるので、家族構成や収入・預貯金の残高に応じて必要保障額を決め、いつまで保障が必要かを考慮して保険期間を決めていくとよい。
メリットは、掛け捨てで大きな保障が割安で用意できることである。また、住宅ローンは団体信用生命保険があり、借主に万一の時、返済不要になるが、自動車ローンなど他の借り入れには保障がついていることが少ない。住宅ローン以外に借り入れをする場合は、その返済金額も収入保障保険の保険金額に含めることも必要だ。
この収入保障保険は、保険会社によってタバコを吸わない人やBMIが一定の範囲内の健康体である場合、保険料がかなり割引になる。逆をいえば、その割引がない保険会社は、タバコを吸う人にとっては割安な場合もある。健康状態や喫煙の有無によって、保険会社選びをしていくことをおすすめする。
2、低解約金返戻金型終身保険
保険料の払込期間中の解約返戻金は低く設定されているが、払込期間が過ぎると解約返戻金がはね上がり、払込保険料より増える保険である。場合によっては定期預金よりもよい返戻率になり、貯蓄や学資保険の代わりに活用できる。死亡保障つきの積立貯金として利用して、掛け捨ての死亡保障を抑えることもできるケースもある。掛け捨て保険と組み合わせて上手に活用していきたい。
医療保障でおすすめの2つの保険
1、入院にそなえた終身医療保険
高額療養費があるので1か月8万円少々あれば医療費自体はカバーできる。しかし、現在1日780円かかる入院時の食事代は2016年度から1080円に、18年度から1380円になることが決まっている。1か月4万1400円だ。これもかなりの負担になるであろう。預金があれば保険自体いらないといえるが、30代夫婦の場合、子育て費用や住宅取得費用など、支出が増える時期であるので、保険で用意しておくとよいであろう。
終身型にしておくことで一生涯の保障がカバーでき、若い時に入ると保険料も割安になる。10年更新などにすると、加入時は終身型よりも安いが更新時に保険料がどんどん上がってしまい、健康状態に不安が大きくなる老後になってから保険料が払えずやむを得ず解約せざるをえなくなるケースもある。今だけの保障でよいのか一生涯保障がほしいのかしっかり考えて選んでいきたい。
2、長患いに対応できるガン保険
若い頃に入った安い保険料を活かして、そのままにしているガン保険があれば、その保障をしっかり把握しておくことが必要だ。以前のがん保険は入院保障が充実していて入院日数無制限となっているものもあるが、通院に関しては「20日以上入院し、退院後180日以内に行った通院で30日分限度」などと縛りを設けているものが多い。
二人に一人がガンになるといわれている現在、ガンで入院してもかなり短期で退院となってきている。そしてその後、抗がん剤や放射線治療を長期にわたり通院で治療することもあり、入院ありきのガン保険だと通院治療が長期化した場合、治療費が負担になってくる。
最近のガン保険は、入院や手術をしなくてもガンで通院するだけで給付金がでたり、抗がん剤の治療を受けると、毎月一定額の給付金がもらえるものもある。また、診断給付金は悪性新生物と上皮内ガンが同額給付であるかどうか(上皮内ガンは少額だったり給付対象外だったりするケースもある)再発や転移したときに再度給付してもらえるかどうかもチェックしておきたい。
保険は多様化複雑化してきているので、価格だけでは比較しきれなくなってきているのが現状だ。公平な視点で選ぶには、有料でもプロの力を借りたほうが最終的に安くすむこともある。住宅の次に高い買い物とも言われる保険は慎重に選んでいきたい。
稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP)、心理カウンセラー
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆業務を行い、テレビ・新聞・雑誌などのメディアでも活躍中。
FP Cafe
登録FP。
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