中国の景気減速懸念が再浮上、株安・円高で一段と悪化

現状判断DIの内訳をみると、家計動向関連(前月差▲2.1)、企業動向関連(同▲3.0ポイント)、雇用関連(同▲0.3ポイント)といずれも悪化に転じた。家計動向関連は、小売関連(前月差0.0ポイント)が前月から横ばいとなる一方で、飲食関連(同▲7.9ポイント)、サービス関連(同▲4.2ポイント)、住宅関連(同▲4.1ポイント)が大きく低下した。

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コメントをみると、飲食関連では「正月に散財したのかまるっきり駄目な状態であり、年が明けてからは販売量もそうだが人の動きが確実に落ち込んでいる」(東北・一般レストラン)や「クリスマスや年末年始のシーズンが終わり、客足が少なくなっている」(近畿・高級レストラン)といったように、年末年始商戦の反動の影響を悪化要因に挙げるコメントが多く寄せられた。

小売関連については「外国人旅行者の売上は依然として堅調であるものの、クリアランス時期になっても、冬物衣料の売上不振は続いている」や「円高、株安の影響が相当に出てきている」(南関東・百貨店)とのコメントのように、暖冬による冬物商材の不振や円高・株安を懸念するコメントが散見された。

これまで個人消費の下支えとなっているプレミアム付商品券に関するコメントについては、「12月はプレミアム付商品券の駆け込み需要等があった。1月になって天候の影響もあり落ち込んできて、悪くなっている状況である」(九州・商店街)など、プレミアム付商品券による消費押し上げ効果が薄らいでいる点を指摘するコメントもみられた。

企業動向関連は、製造業(前月差▲0.8ポイント)が小幅な悪化に留まる一方で、非製造業(同▲4.6ポイント)は悪化幅が大きかった。

製造業では、「中国の景気動向やフランスのテロなどにより景気が不安定であり、設備投資意欲に力強さがない」(北陸・一般機械器具製造業)など海外情勢の悪化を不安視するコメントが見受けられた。

一方、非製造業では「原油安、円高、株安と不安感が増大しており、足元の景況感は良くない」(関東・金融業)など原油価格下落の影響を懸念するコメントが寄せられたほか、「12月の繁忙期明けの1月という事もあり、物量が大幅に減少している」(四国・輸送業)といったように、年末年始の需要増の反動を景況感の悪化要因にあげるコメントも散見された。

雇用関連は3ヵ月ぶりの悪化となったが、DIは高水準を維持しており引き続き雇用情勢は改善基調にあると判断される。

「年末の繁忙期が終わり、求人依頼数が減少している」(南関東・人材派遣会社)など年末需要期の反動の影響をあげるコメントのほか、「求人数が減少している。景気の動向を見定めるため、企業が採用を先送りしている」(九州・人材派遣会社)など景気の先行き不安がやや高まっていることも押し下げ要因となった。

ただし、「人手不足であり、求人の高止まりの状況に変化はない」(東北・職業安定所)といったコメントのように、労働需給の逼迫した状況に変わりはないといえる。