1月の締めくくりに日本銀行が金利の基準を-0.1%に下げ、デンマーク、スイス、欧州中央銀行のマイナス金利組に仲間入りするという驚きの決断を発表した。
この決断により、銀行が日本銀行に新たに資金に預ける際はコストがかかってくる。しかし、投資者にとって重要なのは金融政策の手順ではなく、金利をマイナスの域へもっていくことで今後何が起こってくるかである。
この金利決断はアメリカや日本を主としてニュースで世界市場で熱狂的な賞賛を受けた。通貨市場でもほぼ全ての通貨が日本円に対して切り上げた。近い将来を考えると日本にとって通貨変動は重要かもしれないが、それは他国がどう反応してくるかによるものだ。
最初の大きな動きではない
日本は先月末に世界中から注目を集めたが、ここ数年で初めてみた特殊な金融政策ではない。アメリカと日本では量的緩和政策、ヨーロッパの大部分ではマイナス金利がとられた。米連邦準備制度理事会もマイナス金利が必要であれば実行することが可能だといっている。
結果は多くの国々で翌日物レートがマイナスであるだけでなく、多くの短期社債もマイナス金利を抱えている。最近のFinancial Timesの記事によると、JPモルガンの指数の国債の4分の1はマイナスで取引をされている。
私たちが払うの?
マイナス金利は預金をしてお金をもらうのではなく、金融機関にお金をとられることに払うことになるため、近年まで見込みのないもの、そして珍しいものと考えられてきた。
現在のところ、お金を“払う”のは私たちではなく銀行(個人がマイナス金利で短期謝金の販売に投資していない限り)である。ヨーロッパにある銀行はそのコストを顧客に抱えさせることはせず、代わりに負担してきた。日本も同じことをしていくであろう。
マイナス金利の目的は、預金をすることにお金を払うのは無駄であるため、銀行やお客様に違うお金の使い道を見つけてもらうということだ。銀行に置くことにはペナルティーがついてくるため、望ましいのはそのお金を投資や買い物などに使ってもらうことだ。
成功した場合利益を得るのは?
日本銀行や欧州中央銀行の望み通りに物事が進んでいくと、マイナス金利は投資や費消によって経済成長につなぐことができる。
日本円に起こったように、より低い金利はより切り下げられた通貨につながる。これが長引くと、ホンダやトヨタなどの日本の輸出企業が利益を得ることができる。積極的かつ収益性の高い企業は日本の雇用を助け、さらに日本経済を広げるだろう。
アメリカの投資者たちは、日本のとった大きな行動で円安後に連邦準備制度理事会が金利を上げないよう望んでいるようだ。アメリカの輸出企業はドル高に苦しんでおり、さらに金利が上昇すると米債券や他の高金利手段に流れ、さらにドル高になると予想される。
もし連邦準備制度理事会が金利を上げなければ、グローバルな投資者たちは米債券やドルに関心をなくす。インフレが脅威でない限り、短期で効果が出ることは目に見えていて、投資者たちが騒ぐ理由がわかる。問題は長期ではあまり意味がなく、必ずしも流れがわかっているわけではないということだ。
不利益になるのは?
もしこれが市場の注目している理由であるならばいいニュースではないかもしれない。円安は、日本で著しい売り上げを上げていて主にドルでビジネスをしているAppleや他の企業などには不利益だ。価格で競争する必要がないほどの有利な点があれば別だが、日本企業と競争している生産者にも不利益である。
中国や他の新興国について考えなければならない。中国の輸出企業は主に値段で競争しており、人民元に対しても円安となった。しかし、これだけではない。これまでの半年間、円は人民元に対して切り上げてきた。マイナス金利はこの半年間の変動を少し戻すこととなったが、元に戻ったわけではない。
この動きは中国だけでみられることではない。新興国全般で通貨の切り下げの動きが見られ、輸出企業を助けてきた。円安になったことで、これから中国や他の新興国が通貨を切り下げるために金利を下げたり、ほかの行動をとってきたりする可能性が十分にありうる。これは誰もが起こってほしくないと願っているだろう。通貨が安定せず、下げられるとこまで下げるレースが繰り広げられそうだ。
もし日本銀行や他の中央銀行の計画通りにいかなかった場合、マイナス金利の敗者となりうるのは銀行だ。マイナス金利の影響で銀行にかかってくるコストを賄わなければならないため、お金を貸し出したがらない可能性が出てくる。
これはきっと最後の動きではないだろう。The Motley Foolはマクロ経済的推測をするところではないが、ここ数年の並外れた行動の数々からして、これから日本以外の国も型破りの政策で経済効果を生み出そうとする可能性が大いにある。
もし中国経済が苦労し、資本が離れ続けていくようであれば、8月でも見られたように中国が通貨を切り下げるであろう。もし切り下げた場合、投資者たちはさらなる市場の変動に備えなければならない。
必ずしも景気後退や危機が起こるわけではない。市場を調整するための変動が多いだけかもしれない。そして、もし政策が成功したならばこれらをも意味しないだろう。
何が起こったとしても、この問題に関心を持った投資者たちにとっては良い投資環境であるといえる。しかし、特定の銘柄を選ぶとなると、競争上の優位性、評価、および企業の全体的な耐久性に注意を払っていかなければならない。
数十年単位で投資を考えている投資者たちにとってこの多くは単なる一瞬の騒ぎとして忘れられるだろう。
ネイト・パルメリー(提供: The Motley Fool )
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