2月10日の下院金融委員会での「マイナス金利否定発言」から一転、翌日の上院金融委員会でイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、「可能性はゼロではないが、効果があるという確信を得る必要がある」と、政策の方向転換についてより深い見解を明らかにした。しかし3月を予定している追加利上げの延期が完全に決定したわけではないようだ。

「想定を上回る世界市場の混乱」

昨年の12月に約10年ぶりに利上げに踏み切った米国だが、状況は急激な変化の渦に巻き込まれ、年内4回の追加利上げなど当初予定されていた計画からは大きく軌道が外れている感が否めない。

さらには日銀によるマイナス金利実施という予想外の事態も加わり、イエレン議長は「これほどまでの混乱ぶりは想定を上回るものだ」と驚きをあらわにした。

「追加利上げの可能性が市場の不安感をあおったのではないか」という疑惑についてはキッパリと否定し、世界市場の大混乱を引き起こした原因は「空前の原油安と中国経済の失速にある」とコメント。

2010年に検討の末、「市場への影響を懸念し採用には至らなかった」というマイナス金利の導入に関しては、低迷中の経済を促進する手段として現在再検討中であることを認めたが、「そうした強硬手段をとらざるを得ないほど市場が揺らぎ続けるとは思えない」と、可能な限り逆戻りを回避する意思を示している。

また原油安やドルの強化がインフレを抑制していることは認識しているが、3月の追加利上げ実施を完全に諦めたわけではなく、「今後数週間の市場の動きを注意深く観察する」と付け加えた。

FRBは経済危機に見舞われた2008年、利率を長期的に引き下げる目的で7兆ドル相当の米国債とモーゲージ債(MBS)の買い入れを行ったが、現在米国のバランスシートは4兆ドルまで膨れ上がっていることから、一部のエコノミストから市場への影響を懸念する声が上がっている。(ZUU online 編集部)

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