転職,35歳以上
(写真=PIXTA)

「35歳を過ぎると転職は難しい」という「35歳転職限界説」は崩壊しつつある--。

転職サービス「DODA(デューダ)」が発表した調査によると、転職成功者の平均年齢が上昇傾向にあることが分かった。同社は「中途採用のマーケットが拡大し『35歳転職限界説の崩壊』を裏づける結果になった」と分析している。またエン・ジャパン「ミドルの転職」を利用している転職コンサルタントへのアンケートで、7割以上が、2016年はミドルの求人募集が「増える」と回答している。

35歳以上で増えている「転職成功者」

DODAが発表した「転職成功者の年齢調査」によると、2015年下半期では転職を成功させた人の平均年齢は32.1歳と、2007年の調査開始以来、過去最高の年齢となった。転職成功者の実に28.2%が35歳以上だ。

この調査は2007年7月~2015年12月にDODAの転職支援サービスを利用したビジネスパーソン約10万人を対象に行われている。

調査結果(2015年下半期)のうち、転職者の年齢の内訳を見てみると、全体に占める割合の中で最も多いのは「転職適齢期」とも言われる「25~29歳」の37.4%。次いで「30~34歳」の27.0%、「40歳以上」の14.3%が続いた。

この動向について、DODAは「中途採用のマーケットが拡大し『35歳転職限界説の崩壊』を裏づける結果になったと言える」と分析。また、今回の調査では24歳以下の若手層でも転職成功者が増えたが、これは2016年度の新卒採用開始時期が後ろ倒しになったことに関連して、第二新卒者など中途採用に注目が集まった結果とみている。

「育成」よりも「即戦力」

30代中盤以降のミドル人材の転職が増えている背景には、どんなことがあるのだろうか。

人材総合サービス「エン・ジャパン」は35歳以上のミドル人材の求人動向について調査した結果を発表した。同社が運営する人材紹介会社集合サイト「ミドルの転職」を利用している転職コンサルタント172人を対象にアンケートをしたところ、7割以上(73%)が、2016年はミドルの求人募集が「増える」と回答した。

その理由は「就職氷河期に相当する35歳~45歳の社員数が他の年齢層より少ないから」「若年層(25歳~35歳)の人口減少に伴い採用が困難なため」「育成に手間暇がかかるポテンシャル人材よりも、職種や業界に精通した即戦力=ミドル層のニーズが高い」などが挙げられた。

また増加が予想される求人案件の動向としては、43%の転職コンサルタントが「首都圏の企業から地方企業への転職」と回答。地方創生や親の高齢化などから地方勤務希望者が増えると推測したようだ。

求人募集の増加が予想される企業規模では「中堅・中小企業」(79%)の回答が最も多く、次いで「ベンチャー企業」(37%)、「大手企業」(36%)が続いた。業種では「メーカー」(56%)、「IT・インターネット」(38%)、「建設・不動産」(37%)が上位に入った。役職では「課長クラス」(69%)が最も高かった。

必要とされるスキルにも変化

エン・ジャパンの調査では、回答者の6割以上がここ2〜3年と比較してミドル人材に求められるスキルが「変化してきている」と答えた。採用企業が求めるスキルを見ると、「高いレベルでの実務遂行力」(68%)が最も高く、次いで「目標や課題を自ら設定し、解決策を考える能力」(46%)が上位に入っている。

「変化してきている」と回答した転職コンサルタントのコメントをみると、「異業界でも職務を遂行できるスキルが高いと判断されれば選考のテーブルに乗る機会が増えた」「昔のような専門性だけを問う時代から、幅広い能力が求められている傾向が強くなっている」などが変化の理由として挙げられている。

エン・ジャパンはこのような動向について「旧来型の管理職タイプではなく、プレイングマネージャーとして活躍できる人材を求める企業が多い」と分析している。

転職市場では若手の需要が高く、35歳以上の転職は難しいと思われがちだが、以上のように最近は少子高齢化や景気回復など社会情勢の変化に伴い、転職市場に変化が生じているようだ。さらに、さまざまな経験を持つミドル人材では、その経験や知識を柔軟に活かすことが求められていることも見えてきた。

転職市場が変化している今だからこそ、自身のキャリアを見直してみるのもいいかもしれない。(ZUU online 編集部)

【オススメ記事 PR】
「従業員からの支持率が高いCEOランキング」
世界の15歳調査、お金のリテラシーが一番あるのは「中国」
トップ企業は時給7000円超 「上場企業の時給ランキング2017」
「長く快適に働ける」企業トップ20 1位の企業「転職は厳しい」の声も
お金を稼ぐには地理を学べ 代ゼミの名物地理講師が説く「経済を地理から学ぶべき」理由