失業率,G20
(写真=Thinkstock/Getty Images)

1月の失業率は3.2%と、12月の3.3%から低下した。12月は深刻な暖冬の影響もあり、冬物商戦やレジャーが不振であったとみられるが、1月に入り気温が大きく低下し、状況は改善したとみられる。

1月の訪日客は前年同月比+52%も増加し、人民元安にも関わらず中国からの観光客はまだ大きく増加している。観光関連の雇用拡大が続いていると考える。

改善が続く雇用情勢

失業率が自然失業率とみられる3.5%を明確に下回るトレンドが続き、労働需給はかなりタイトになってきている。

特にパートタイム労働者の賃金の上昇など、労働待遇面での大きな改善がみられ、よりよい条件を求めた労働者の動きを促していることが、失業率の振れ(2015年4月の新年度入り後、3.1%から3.4%の動き)につながっているとみられる。

3月から1月までの間に、新規求人数が前月比8.9%と大きく増加する一方で、新規求職者は9.3%減少しており、順調に就職につながっていることを意味する。

企業の採用活動は強く、1月の有効求人倍率は1.28倍と、12月の1.27倍から上昇した。ようやく正社員の雇用も動き始め、2015年は正社員が44万人増加した。8年ぶりの増加である。

改善が一番遅れているとみられる中小企業製造業でも、政策金融公庫の従業員判断DI(不足-過剰)が2月に14.4と1月の6.0から極めて大きな改善を示し、2006年以来の水準となった。

新年度入りの4月から新たに雇用される労働者も多いとみられ、2016年度末までには失業率は3.0%まで低下すると考える。

パートタイム労働者の増加により平均賃金の上昇は鈍く見えるが、総賃金は前年比+2%に向けて拡大が加速している。

2016年は、物価上昇が賃金上昇に若干遅れることによる実質賃金の上昇が消費活動を刺激するという、2014、15年とは逆の展開になっていくと考えられる。

一方、失業率が3%を十分に下回る水準に更に低下し、労働需給のかなりの引き締まりが賃金上昇を強くし、正社員を中心とする賃金インフレと消費活動の拡大が牽引する形で物価上昇が加速していくことが、日銀の目標である2%の安定的な物価上昇の達成の必要条件だろうが、そこまでにはまだかなりの時間がかかるとみられる。

グローバルな政策の方向性がもたらす影響は

リーマンショック後の財政拡大の反動で、財政健全化の方向性で合意した2010年のG20が、グローバルな需要不足の原因となり、貿易活動を抑制してしまったと考えられる。

そう考えると、金融政策への過度な依存への反動で、財政拡大を含めた政策を総動員することで合意した2016年のG20は新たな転換点かもしれない。

2010年からの5年間は緊縮財政などによるグローバルな需要停滞とデフレ懸念が特徴であったが、これからの5年間は財政が拡大気味になれば、グローバルな需要回復とインフレ復活が特徴になるかもしれない。

深刻な高齢化で日本はもはや財政を維持することができないという固定観念が、この20年間の日本経済の停滞の一因になっていたと考えられ、財政健全化の負担が軽くなり、デフレ完全脱却を目指すアベノミクスにはグローバルに追い風が吹いてきたと考えられる。

2016年度の政府予算成立後の補正予算による景気対策、そして2017年4月の消費税率引き上げを見送り、2020年度の東京オリンピックまでは、財政緊縮路線を緩め、デフレ完全脱却でグローバルな需要拡大に貢献する方針に転換する可能性が更に高まったと考える。

国内の経済指標とグローバルな政策の方向性は、日本がデフレを脱し、インフレを抱える正常な経済に戻る道筋が整いつつあることを示している。

賃金インフレからしっかりとした物価上昇の定着へ向かう動きの入り口まではたどりついているようだ。2017年4月の消費税率引き上げが強い逆噴射をかけなければ、その入り口に入れる可能性は高いと考える。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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