得意分野を生かしながらNPOや地域活動などの社会貢献に取り組む「プロボノ」が注目されている。語源はラテン語のProBonoPublico。これには「公共善のために」という意味がある。「職業人(プロ)として」という部分が一般的なボランティアと異なり、自分の専門技能や知識を活かして活動する点が特徴だ。職種は、法律や財務・経理にクリエイティブ、広報・マーケティングなどが多いようだ。
「会社だけ」ではない働き方を
製薬大手のロート製薬が副業を認める「社外チャレンジワーク制度」を4月から導入することを決めた。従業員が終業後や土日祝日に他の企業やNPOなどで働き、収入を得ることを認めるものだ。多くの企業が就業規則で兼業を禁止している中、「会社という枠、常識の枠を超えてチャレンジし続け、成長してもらいたい」という会社側の狙いがある。プロボノが注目されている中にあってのこうした取り組み。時宜にかなった評価すべき内容といえるだろう。
プロボノの発祥は米国で、2001年に設立したプロボノ専門のNPO・タップルート財団(サンフランシスコ)は、現在3万人を超す人材を擁するまでに成長。これまでに受け入れ側に提供した経済価値は1億2300万ドル(約120億円)相当とされている。
日本では2010年頃から盛んになり、11年の東日本大震災を機に世に浸透した。例えば、中小企業診断士が東北の地元企業や商店街の復興を支援したり、弁護士が現地で被災者向けに無料法律相談会を開催したりしていた。
主にNPO法人がWebサイトで、ボランティアスタッフを必要とする団体や地域と支援したいと思っている人(プロボノ)を仲介する仕組みが一般的。最近ではマッチングだけでなく、それぞれの活動内容を掲載して実際に支援を申し出ることができるサイトも増えている。
仲介NPO最大手のサービスグラント(渋谷区)の登録ワーカーは14年度末で2384人と、3年間で倍増している。同NPOは、「プロボノに注目する個人や企業が増え、自治体も目を向け始めた」としており、認知度が上がってきていることを実感しているようだ。
「プロボノを始めたい」と思ったら 3月19日にイベント開催
プロボノという生き方は、今後さらに広がっていくだろう。興味がわいたらNPO法人などのWebサイトを見つけてみるといいかもしれない。
3月19日には、「DODAソーシャルキャリアフォーラム〜プロボノから拓ける、新しいキャリア〜」が東京・丸の内にある三菱ビル(コンファレンススクエア エムプラス)で開催される。プロボノの意義ややりがい、広がるキャリアの可能性についての講演、各団体のプレゼンが行われるほか、団体のブースで詳しく説明を聞くこともできるという。
http://doda.jp/event/probono.html
基調講演の登壇者は前出サービスグラントの嵯峨生馬代表理事、NPO法人ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京の岡本拓也代表理事ほか。参加団体はTeach For Japanや日本ブラインドサッカー協会など10団体。主催のインテリジェンスは「社会貢献したい」「プライベートの時間をつかって視野を広げる活動をしたい」というプロフェッショナルへの参加を呼びかけている。参加無料、申し込み締め切りは3月16日。(ZUU online 編集部)
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