レポート,マネックス,ユーザベース
講演したマネックス松本社長(写真=FinTech online編集部)

「第1回The FinTech Nights:新たな金融の改革者達へ」と題したイベントがが3月1日、東京・丸の内のFINO LABで行われ、マネックスグループの松本大社長とユーザベース梅田優祐社長が講演、対談した。会場には起業家、また起業志望者が多く来場。両社長とも自身の起業にまつわるエピソードを披露したほか、起業家にとって大事なことを伝授した。

会場となったFINO LABはスタートアップ企業の成長を支援・加速することを目的に設立された産業拠点で、シェアオフィスなどがある。電通と電通国際情報サービス、三菱地所が設置した。

松本氏「やるからには大勝ちする環境づくりを」

松本氏は「成功するFinTechの秘訣」と題して講演。「向いている方向が違う社員がいると会社がめざすベクトルがまっすぐでなくなる。ベンチャー社長ならそういう社員と話をする、コミュニケーションをとることで改善できる。ほとんどの大企業はこれができてない」と指摘した。

また「一番大切なのは継続」とした上で、「継続しなければ変化は起こせない。たいていのアイデアは自分より優秀な誰かが考えてしまっている。どこにでもあるアイデアをいかに継続するか。どういうチーム、組織をつくって続けるかが大切」と述べた。

そして「好奇心を持ち続けること」の重要性も説き、「少なくとも好奇心は負けない気概を持つこと。まったく同じ命題・状況下であっても、目的意識でまったく異なるものが出てくる」と訴えた。

現在のFinTechを取り巻く環境についても言及。マネックスをはじめとしたオンライン証券を「(FinTech)第一世代」としたうえで、「とにかくゲームをチェンジするにはどうしたらいいかを考え続けてきた」と話し、「やるからには大勝ちする可能性をつくりださなければダメ」と強調した。

そのうえで「ただし、根っこから条件を変えるのは簡単ではない。特に金融の世界は行政の監督も厳しく、ほったらかしにやらせてもらえない。本田宗一郎氏が『国がほっといてくれたから(日本のオートバイ産業は)成長できた』といわれたそうだが、まさにそう。バイクとカメラは国際競争力があるが、国が守った通信と金融からは世界的プレーヤーに生まれていない」と説明した。

しかし「逆にいうと参入が少なく競争が低いし、1回当てると大きい。だから既に大きな起業と一緒に戦うのも手だと思う」と提案。「僕は生来の性格で『デストロイヤー』タイプ。これは自社の営業のつもりはないのだけど、(皆さんの)お手伝いをしたいと思う」と話し、エコシステムの確立に意欲を見せた。

梅田氏「金融と起業の違いとは」

(左から)梅田、松本両社長の対談(写真=FinTech online編集部)
(左から)梅田、松本両社長の対談(写真=FinTech online編集部)

SPEEDAやNewsPicksを事業展開するユーザベース、梅田氏の演題は「金融人材に贈る 起業のススメ」。起業を考えたUBS時代のエピソードから始まり、プロピッカーを一人ひとり獲得していった話、天才エンジニアとの付き合うことの難しさが分かる話などを披露した。

さらに「金融」と「起業」を比較、その違いについて、「金融は給与は『良い』が、起業は『悪い』。金融は『考える』が起業では『行動する』、そして、金融は『枠の中で考える』が、起業は『枠の外で考える』もの」などと述べ、新しく開発しているサービスなどについても一部披露した。

その後の対談は「金融人材の起業に必要なモノ・コト・ココロ」というテーマで行われた。梅田氏から「松本さんが恐れているものは?」と問われた松本氏は「マクロ環境と自社の人的体制がダメになっていくこと」と述べた。後者については、「モチベーションが下がり陳腐化すること」と補足した。

梅田氏は「昔は社内でも未来の話ばかりしていたが、最近は気づくと社内(人事)の話ばかりしている」といった悩みを吐露。これまでに人事に関して失敗した取り組みなどを挙げると、松本氏は社員に理解してもらうための策として「大義名分を持って説明すること」と述べた。また組織が大きくなるにつれ、精神的な距離ができてしまうことについては、「毎日社員全員にメール」という手段で乗り切ったことも話した。「一種の錯覚というか、毎日メールを送るようになってしばらくすると、社員から話しかけられるようになった」などと振り返った。

会場から「外部環境が大きく変わったらどうするか」という問いに対して松本氏は「ビジネスそのものを変えるかもしれない」と返答した。

このほか、冒頭にはマネックスベンチャーズ取締役の高岡美緒氏が「イノベーションが湧き起こる夜を東京に」と題してあいさつした。( FinTech online編集部 )

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