ブラック企業,転職
(写真=PIXTA)

就転職を検討するとき、ブラック企業をある程度見分けることができれば、それに越したことはない。ここでは見逃してはならない「ブラック企業のシグナル」について、いくつか紹介しよう。

ブラック企業からにじみ出ているもの

転職を考えるときにふと頭をかすめるのは、「もしその企業がブラック企業だったらどうしよう」という不安だ。その企業が有名であるか、ネットのクチコミなどで十分な情報を収集できるのならいいが、そうでない場合、不安感から申し込みをする前の段階で足踏みしてしまいがちだ。

当然ながらブラック企業はその「ブラックさ」を表には出さず、むしろ優良企業を演じていることが多い。しかし、目をこらしてよく見ると、「ブラックさ」はにじみ出ているもので、見るべきポイントを押さえればそれを見いだすことができる。

ただし、ここで紹介する「ブラック企業のシグナル」だけでブラック企業かどうかは判断できない。該当する項目があったとしても、あくまでそれは「シグナル」ととらえ、詳細は自分の手で調べるべきだろう。

また急成長中のベンチャーなどでは、社員の給料よりも事業への先行投資に資金を振り向ける傾向があり、その場合、一時的にはブラック企業の様相を呈したとしても、信じてついていった社員が後に大きな利益を得ることもある。その意味では「ブラックさ」を理解した上で入社するという選択もありえる。

給料面で「?」があればスルーしないこと

ここで9つの「ブラック企業のシグナル」を紹介しよう。

(1)給料の表記があいまい

求人広告などで、残業代や諸手当を含めた金額を「月50万円以上可能」といった形で記載し、基本給を明記しないケース。あるいは、「経験を考慮し相談の上」というように給料の目安をあいまいにするケースについては、内定が出た段階でこちらの予想以上に低い月収が提示されることが多く、その意味でブラック度が高いといえる。また、固定残業代、定額残業代といった形で残業代が固定されているケースについても、予想外の長時間労働が予想されるという点で、やはりブラック度が高いといえそうだ。

(2)試用期間が長すぎたり給与が安すぎたりする

試用期間が長すぎる(たとえば6カ月以上)、さらに、その試用期間中の給料が正式採用後の給料に比べて安すぎる場合、正社員をあまり雇わず、その「試用期間の社員」を中心に業務を回している可能性があり、これもブラック度が高いといえる。

(3)「若手でも活躍できる」「短期間で管理職になれる」といううたい文句

若くして責任ある役職につけるということは、その役職に長く就いている人がいないということでもあり、ブラック企業の可能性が高くなる。

求人広告の内容ににじみ出る「ブラックさ」をかぎとろう

次に求人広告や企業のウェブサイトにみられるキーワードからブラック企業を見分けるコツについて紹介しよう。

(4)業務内容がはっきりしない

何をしている企業なのか、いまひとつはっきりしない。あるいは、募集している職種の業務内容が不明瞭な場合、社会的にグレーゾーンな仕事内容である可能性がある。

(5)求人広告がずっと掲載されている

同じ企業の求人広告が常に掲載されているということは、人がどんどん辞めている可能性が高く、やはりブラックのシグナルとみなされる。もちろん、じっくりといい人材を探している可能性もあるので、ここだけで判断はできない。

(6)大量募集している

全従業員の一割以上におよぶ大量の人数を募集している場合、脱落者を見越してたくさん採用している可能性があり、やはりブラックを疑うシグナルとなる。

(7)聞こえのいい言葉が躍る

「生きがい」「成長」「夢」「感動」「人財」といった聞こえのいい言葉が躍る広告は、給料が業務内容に見合わないことをカムフラージュしている可能性があり、入社後は「やればできる。やれないのはやる気がないから」といった精神論を強調して無理な勤務が強要される可能性がある。とはいえ、やはりここだけでは判断できないので、ほかの要素も考慮のこと。

『就職四季報』は大いに参考になる

そのほか次のような特徴があればブラックを疑ってみよう。

(8)社名が何度も変わっている

数年のうちに経営者が数回入れ替わっているような会社は、経営者側に社員への思い入れがなく、駒のように扱われる可能性がある。また、社名が何度も変わっている会社は「好ましくない過去」があるのかもしれない。

(9)『就職四季報』で3年後離職率が高い

『就職四季報』(東洋経済新報社)で参照できる企業なら、新卒者の3年後離職率を見てみる。これがほかの企業を比較して高い場合、ブラックを疑う。また、「平均勤続年数がほかの企業と比べて短い」「平均残業時間がほかの企業と比べて長い」といった企業にも注意が必要だ。

このほかにも、面接の過程でいろいろ分かることがある。「面接官の態度が横柄、あるいは無気力」「離職率などの質問に答えない」「面接官が多い(5人以上)」「短時間の面接で内定を出す」「面接の予定が何度も変更される」「いきなり社長と面接」「面接から合否までの間が2〜3日と短い、あるいは1カ月以上待たされる」といったもの。これらはその企業の人事部門が正常に機能していない可能性を示している。

これらの特長があったとしてもブラック企業とは限らないし、法的に問題がないのなら多少ブラックに見えたとしても、そこに勤めるかどうかは自己責任で決めること。いずれにせよ肝心なのは、入ろうとする企業をよく知った上で、納得して進路を決めるということだ。(ZUU online 編集部)

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