銀行口座を選ぶうえで大きなポイントになるのが、どれだけ利息がつくのか、という点だろう。

この記事では、利息・利子・金利の違いや利息の計算方法、利息にかかる税金について分かりやすく解説する。代表的な金利が適用された場合の利息額の計算例も紹介するので、銀行の利息について知りたい人はぜひ参考にしてほしい。

銀行にお金を預けると利息がつくのはなぜ?

利息,積立預金
(画像=PIXTA)

銀行に一定期間お金を預けると、利息を受け取ることができる。どうしてお金を預けるだけで利息を受け取ることができるのか、不思議に思ったことはないだろうか?

銀行は、顧客から預かったお金を会社や個人に貸し付けて運用している。その運用益を、預金者に利息として還元しているのだ。

利息・利子の違いは?金利や利率の意味も解説

利息・利子・金利・利率・利子率といった似たような言葉の使い方で、混乱したことはないだろうか。

まず、利息と利子は視点が違う。利息と利子の違いは以下のとおりだ。

利息……お金の貸し手が、元本に加えて受け取れるお金
利子……お金の借り手が、元本に加えて支払うお金

銀行にお金を預けた側は、預けた金額や期間に応じて「利息」を受け取ることができる。一方、住宅ローンなどで銀行からお金を借りた側は、借りた金額や期間に応じて「利子」を支払わなければならない。受け取るのは利息、支払うのは利子と覚えておくと分かりやすいだろう。

とはいえ、現状では、利息と利子は厳密に使い分けられていない。人によっては「利子を受け取った」と言ったり、「利息を支払った」と言ったりすることもある。

金利・利率・利子率も、実は同じものを指している。一般的には、金利といわれることが多い。

金利とは、お金を貸したり借りたりするときに設定する、利息・利子を計算するための割合のことだ。通常は1年間を基準に設定されている。

例えば、金利1%で100万円を貸したとすると、1年後には101万円を受け取れる。逆に金利1%で100万円を借りたとすると、1年後には101万円を返さなければならない。

なお、本稿においては、説明をシンプルにするため、特段のコメントがない限り金利の表記は「税引前」で行っている。実際に受け取る利息は「税引後」のものであることに留意して欲しい。

銀行の利息の計算方法は?

1年間でいくら利息を受け取れるか、簡単に計算する場合の計算式は以下のとおりだ。

利息 = 預けるお金 × 金利

例えば、1,000万円を金利0.1%の銀行に預けるなら、1年間で受け取れる利息の金額は1万円だ。

しかし、普通預金の場合、実際には口座残高は日々変動することが多い。また、利息も1年に1度ではなく、1年に2回など、分けて支払われることが一般的だ。厳密に普通預金の利息を計算したいときは、以下の計算式で1日当たりの利息が求められる。

利息 = 期間中のある1日の最終残高 × 金利 ÷ 365日

一方で、定期預金の場合、原則として期間中には預入金額は変わらないため、1年分の利息は冒頭で説明した「利息=預けるお金×金利」で算出できる。ただし、1年未満の期間設定がされていることもあるので注意が必要だ。

前者は「普通預金などの日々残高が変わる預金の利息計算」で、後者は「一定期間残高の変わらない定期預金の計算方法」であり、似て非なるものだ。例えば、500万円を金利0.15%の定期預金に6カ月預けた場合、以下のようにシミュレーションできる。

500万円 × 0.15% × 6カ月/12カ月 = 3,750円

結果、6カ月後に満期になった際に受け取れる利息は、3,750円だ。期間が3カ月の場合も、この計算式に当てはめれば計算できる。なお、これらの計算式はあくまで簡易的な計算である。実際に計算する際には、上記計算式のように「月割」で計算するのではなく、「日割」計算を行う場合があるなどの理由から、結果が異なる場合もあるため留意が必要だ。

銀行の利息に税金はかかるの?

利息を計算するとき、税金のことも見落としてはならない。

預金利息には、「源泉分離課税」が適用される。簡単にいうと、利息が支払われる時点で、先に所得税・住民税等が天引きされる。そのため、預金者は利息にかかる税金をいちいち計算して納税する必要がない。

利息にかかる所得税・住民税等の税率は以下のとおりだ。

所得税 15%
復興特別所得税 0.315%
住民税 5%
合計 20.315%

給与や不動産所得の場合、「総合課税」として計算する必要があり、所得が大きいほど高い所得税率が適用される。この仕組みを「累進課税」という。しかし預金利息は、総合課税で計算する必要がない。そのため、所得が大きくても小さくても、一律20.315%の税率で計算されることになる。

なお、復興特別所得税とは、東日本大震災の復興を目的として創設された税金だ。2037年12月31日までの間、所得税に上乗せして徴収される。

例えば、利息を1,000円受け取った場合、税金は以下のように計算する。

1,000円 × 20.315% = 203円

実際には、銀行が税金を差し引いたうえで預金に利息を振り込んでくれるため、入金される金額は797円だ。

銀行にお金を預けたら、いくら利息を受け取れる?

続いて、銀行にお金を預けた場合、どのくらいの利息が受け取れるかを事例で見ていこう。

利息の受け取り回数や利息が振り込まれるタイミングは、銀行ごとに設定されている。普通預金なら、一般的には年2回で、2月と8月に振り込まれることが多い。

金利0.001%のメガバンクに100万円を預けた場合

期間中、残高は変動しないと仮定すると、 1年間で受け取れる利息の計算式は以下のとおりだ。

100万円×0.001%=10円

1年間で受け取れる利息は10円で、年2回の受け取りとすると、5円ずつ振り込まれる。

なお、本項では、この後の記載も含め、税金は考えに入れていない。実際にはこれら計算結果から税金が引かれて受取額が決まることになるため注意が必要だ。

金利0.2%のネット銀行に100万円を預けた場合

同様に、期間中、残高は変動しないと仮定すると、
1年間で受け取れる利息の計算式は以下のとおりだ。

100万円×0.2%=2,000円

1年間で受け取れる利息は2,000円で、年2回の受け取りとすると、1,000円ずつ振り込まれる。

利息の違いでどのくらい差がつく?シミュレーションしてみよう

金利で比較すると、0.001%も0.2%も大差ないと感じられるかもしれない。しかし、実際に利息を計算してみると、積み重ねで大きな差につながることが分かる。

続いては、金利の違いでどのくらい利息に差が出るかを、シミュレーション結果をもとに解説する。

1年間でどのくらい差がつく?

預けたお金別に、金利が0.001%・0.1%・0.2%として、1年間で受け取れる利息額を以下にまとめた。

1年

金利が0.2%なら、預けた金額が50万円だとしても、1年間で1,000円の利息を受け取ることができる。一方、金利が0.001%なら、預けた金額が2,000万円でも、1年間で200円しか利息を受け取れない。金利の違いが与える影響の大きさが実感できるだろう。

10年間でどのくらい差がつく?

続いて、10年間でどのくらいの差がつくかを、預けたお金別、金利別に比較してみよう。

10年

2,000万円預けた場合、金利が0.2%なら10年間で40万円資産が増えることになる。一方金利が0.001%だと、10年間でも2,000円しか資産は増えない。

複利効果とは?金利は資産形成のスピードを左右する

複利効果とは、受け取ったお金を元本に組み込むことで、資産形成のスピードを加速させられることをいう。難しく感じるかもしれないが、次のような例をもとに考えてみると分かりやすい。

普通預金金利0.2%の銀行に、500万円を預けたとする。入出金を行わないという前提では、1年間で受け取れる利息は1万円なので、1年後の普通預金残高は501万円になっていた。次の1年間で受け取れる利息は、501万円に0.2%をかけて計算するので、1万20円となる。さらにその1年後の利息は、1万40円になる。

受け取った利息が、元本の500万円に組み込まれた上で、利息が計算される。

さきほどのシミュレーションは、あくまで元本に金利をかけて計算している。つまり、複利効果を加味すると、実際にはさらに金利の違いによる差は大きくなるということだ。

金利の高い銀行を選ぶことが資産形成の近道

金利0.001%と金利0.2%を比べてみたとき、実際の金額に置き換えてイメージするのは難しい。しかし、金利0.001%と0.2%では、約200倍の差があることが分かる。つまり、受け取れる利息額も200倍になるということだ。

資産形成の方法には、さまざまな種類がある。NISAやiDeCoといった制度を活用し、節税しながら資産形成する方法も人気を集めている。

しかし、投資商品を購入する際には、損をする可能性があることにも目を向けておかなければならない。NISAやiDeCoについて勉強しよう、投資商品について勉強しようと思っているうちに、どんどん時間が過ぎてしまったという人は多いだろう。

その点、預金なら、元本が減るリスクはない。制度や商品について勉強する時間も必要なく、銀行ごとの金利を比較し、預金を移し替えるだけで明日から効果が得られる。

金利の低い銀行にお金を預けたままにしておくことは、機会損失とも言える。預け替えるタイミングが遅くなるほど、金利の高い銀行に預け替えた場合に得られるはずの利息額の分だけ、損をしていることになる。

資産形成をしたいと考えるなら、投資商品を選ぶ前に、まずは銀行ごとの金利を比較し、金利の高い銀行にお金を預けるようにするとよいだろう。

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