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(写真=PIXTA)

「ふるさと納税」が注目されている。都道府県や市町村、特別区 (東京23区) の中から、自分の好きな自治体に「寄付」する形で納税をする方法だが、自分の出身地への寄付だけではなく、たとえば大震災に見舞われた熊本県に納税したい、といったこともできる。

ふるさと納税が注目される背景のひとつには、寄付をすることで「寄付金控除」が利用できて「税制メリット」もある。ふるさと納税そのものは2008年から始まっているが、年々その額は増えており、2015年度には総額で1,652億円 (総務省) にも達しており、寄付件数も前年比で3.8倍の726万件 (同) に増えている。

とは言え、ふるさと納税の言葉は知っていても具体的な仕組みは知らない、という人も多い。そこで、ふるさと納税の方法について具体的に紹介しよう。

特産品やユニークな特典がついているふるさと納税

ふるさと納税がこれだけ納税者の支持を得たのは、税効果に加えて提供される自治体の「ご当地特産品」や「ユニークな特典」があるからだ。テレビなどのメディアでも盛んに報道されているから、ご存知の人も多いはずだが、例えば1万円の寄付で、高級和牛のステーキ用の肉、毛ガニやイクラなどの海産物、プリンスメロンやなし、すいかなど旬の新鮮な果物などがもらえるなどなど、様々な特典が揃っている。さらに、ふるさと納税することで、その自治体への旅費交通費や宿泊券などを提供してくれるサービスなどもある。それでは、簡単にその仕組みを紹介しておこう。

ふるさと納税の仕組みとは ?

まずは、自分がふるさと納税をしたい自治体を決めたら、その自治体が指定する方法で納税 (寄付) を行う。自治体の窓口の他、クレジットカード、指定の金融機関の口座への振り込みなどの方法で納税すれば、後日、確定申告に必要な「寄付金受領証明書」が送られてくる。気になる税金の軽減額 (特例控除額) は、次のような計算式になる。

① 所得税からの控除額 = (ふるさと納税額-2,000円) ×「所得税の税率」
② 住民税からの控除額 (基本分) = (ふるさと納税額-2,000円) ×10%
③ 住民税からの控除額 (特例分) = (ふるさと納税額-2,000円) × (100%-10% (基本分) ) -所得税の税率
※ふるさと納税額の控除の対象となるのは所得税で総所得金額等の40%、住民税では同じく30%が限度になる
※③が住民税所得割額の2割を超える場合は「住民税からの控除 (特例分) = (住民税所得割額) ×20%」で計算

こうしてみると非常に複雑な計算式になると思うかもしれないが、実は控除額の計算はいたって簡単だ。上述のように、わざわざ計算せずとも下記の計算式で簡単に計算することができる。ひとつだけ注意したいのは「上限額」があるということだ。

●所得税+住民税の控除額合計=納税額-2,000円

要するに、納税額から自己負担分の2,000円をひいた金額が納税額になる、と考えればいい。

たとえば、年収800万円の給与所得者で、共働き、大学生の子供が一人の家庭のケースでふるさと納税を10万円したとすると、計算式は次のようになる。

●所得税+住民税の控除額合計=10万円-2,000円=9万8,000円

総務省がHPで公表している「全額控除されるふるさと納税額 (年間上限) の目安」によれば、年収800万円で共働き、大学生の子供一人の場合は11万6,000円が上限額の目安になる。つまり、11万6,000円までならふるさと納税の控除額は最大11万4 ,000円となるわけだ。ちなみに、限度額を超えて12万円を寄付すると、控除額は11万5,796円、自己負担額は4,204円になる。

このようにふるさと納税は、2,000円の自己負担だけで特産品や様々な特典を得ることができ税効果にも繋がるということだ。控除額のうち、一部は所得税の控除となり、それ以外の部分が住民税の控除になる。それぞれの控除額は自分の年収や家族構成などによって「上限額」が決まっており、上限額は上述した総務省のHP上に一覧表があるためそちらで確認できる。

注意点としては、年収や家族構成によって上限額が異なるために全員が10万円をふるさと納税しても9万8,000円の税金が軽減されるわけではないということだ。寄付金を多くしたからと言って得するものでもない。

自治体が提供する特産品などのコスト負担も、平均で4割 (総務省調べ、2015年度) と言われるから「納税額-2,000円」分がそっくりもらえるわけではない。