中国で若者を中心に「格安スーパー」が人気を博している。賞味期限切れ間近の商品を割安で販売する店舗が続々と増えているのだ。背景には新型コロナウイルスの流行に伴う中国経済の悪化や、国の方針にもとづく食品ロスへの意識の高まりがある。ブームの現状や背景を探っていく。

中国で格安スーパーブーム

中国にブーム到来!「格安スーパー」続々のなぜ
(画像=06photo/stock.adobe.com)

消費期限や賞味期限が近い食品を意味する「臨期食品」。これを相場よりも割引価格で販売しているのが格安スーパーだ。商品は輸入品を含むポテトチップスやビスケットなどのスナック菓子が中心で、麺類などのインスタント食品や飲料、アルコール類のほか、冷凍食品や生鮮食品を取り扱う店舗も見られる。

中国の市場調査会社、艾媒諮詢によると、臨期食品企業は2021年時点で94社に上り、市場競争が激化している。企業数は2019年までに12社にとどまっていたが新型コロナ禍の2020年に倍増し、2021年だけで68社が新たに参入した。

以下では、臨期食品を取り扱うチェーン店について紹介していきたい。

好特売(HotMaxx)

2020年2月創業。電子商取引(EC)の開発と運営を手掛ける上海芯果科技有限公司が運営している。上海市や北京市など10都市に展開し、店舗数は250店に上る。向こう3年で5,000店以上を出店する計画を立てている。

嗨特購(HitGoo)

2021年1月、北京市の北京优品酷卖科技有限公司が設立。資金調達により経営基盤を強化している。現在は北京市を中心に全国に約200店舗を展開している。

小象生活

2020年10月に南京市で創業。食品飲料や冷凍食品、日用品を3~5割引で販売している。資金調達を受け急成長し、100店舗以上を出店した。

中国EC最大手、阿里巴巴集団(アリババグループ)の通販サイト「淘宝(タオバオ)」でも臨期食品を販売しているほか、臨期食品を主に販売するECサイトが登場するなど、その波は実店舗のみならずオンラインにも広がっている。

なぜいま中国で格安スーパーのブームが起きているのか

ではなぜ、格安スーパーが中国で流行しているのだろうか。背景には国内経済の悪化や、食品ロスを防止するための規制と人々の意識の変化がある。

失速する中国経済

中国の国内総生産(GDP)成長率は、2022年4~6月期に前年同期比0.4%増と大きく失速した。新型コロナウイルス対策での厳しいロックダウンの影響で、新型コロナの感染が拡大した2020年1~3月期以来の低水準となった。

政府は現在も一貫して「ゼロコロナ政策」を貫いている。一時は政策が緩和に向かうとも思われたが、習近平国家主席は10月16日に開幕した党大会で政策の継続を表明した。今後も景気の大幅な回復は見込めず、消費者心理は低迷するとの見方が出ている。

そんな中、低価格商品を求める消費者心理をつき、コロナ禍で生まれたのが格安チェーンだ。都市封鎖で生じた店舗休業や食品卸業界の在庫問題を解消する点もブームの火付け役となった。

振り返れば、過去の日本でも同じ潮流が見られている。バブル崩壊や金融危機に伴う景気の低迷・後退期、低価格を売りにしたチェーン店が続々と登場してきた経緯があるのだ。

食品ロス禁止が追い風に

中国では2021年4月、食品ロス削減や食料安全保障強化の観点から、食べ残しを禁止する「反食品浪費法」を可決した。国際農業開発基金(IFAD)によると、中国では3,000万~5,000万人分の食料に相当する年3,500万トン以上の食品ロスが発生。うち年1,700万~1,800万トンが、小売店や最終消費地で廃棄されているという。

近年は世界的にも食品ロスへの意識が広まったことが追い風となり、特に若い世代の間で臨期食品への支持が高まっているとみられている。

今後もブームは続いていくのか?

世界最大の14億人の人口を抱える中国では、食品産業の潜在力は特に巨大だ。調査会社の艾媒諮詢によると、スナック菓子の市場規模は3兆元(約61兆円*)を超える。臨期食品の市場規模はすでに300億元(約6,115億円*)を突破し、2025年には401億元にまで成長すると予測されている。
*2022年10月22日の為替レートから換算

トレンドの成長が見込まれる一方、国内では賞味期限間近の食品への安全性への懸念や、製造年月日の偽造の恐れなども問題視されている。また店舗においては、安定したサプライチェーン(供給網)の確保など、経営上の課題も指摘されている。

節約志向高まる市民にマッチした格安スーパー

中国の2022年通年のGDP成長率は、新型コロナが感染拡大した2020年を除き、1976年以来の低水準となることが予測されている。国内の消費が冷え込む中、コロナ禍で誕生した格安スーパーは節約志向の市民をうまく取り込んでいるといえる。

さらに、国内規制に端を発した食品ロス削減への意識の変化や、より低価格で実用的なものを好む若い世代がけん引役となり、今後もディスカウント食品市場はますます拡大していくと予想されるだろう。

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