保険の契約内容を見直すのにおすすめのタイミングは、ライフステージに変化があったときです。必要な保障内容は、それぞれの人の暮らし方やライフステージによって変わります。同じ人でも、ライフステージが変われば必要な保障が変化しますから、随時見直しを行いましょう。
とはいえ、具体的に、いつ、どのように見直せば良いかわからない人もいるでしょう。保険契約は、長期間一定の支出を発生させるため、慎重に検討しなければいけません。そこで本記事では、失敗しない保険の見直しタイミングや、見直し方法について解説します。保険契約の見直しの参考にしてください。
保険の見直しタイミング①ライフステージ別
保険は、ライフステージに応じて随時見直しましょう。
ライフステージとは、人生を「就職」「結婚」というように、段階別に区切ったステップです。保険を見直すべき7つのライフステージと、見直すべき理由を解説します。
1.就職したとき
就職をしたら、最低限の医療保険への加入を検討しましょう。
就職は、人生の大きな転機です。親の保護を離れ、自立するということですから、万一の際に自分のお金で生活を維持できるようにしておかなければいけません。しかし、就職をしたばかりの新社会人は貯金が少ないことも多く、病気やケガが原因で生活に困窮する恐れがあります。
就職先の健康保険組合が用意している給付制度を確認した上で、生活を圧迫しない程度の安価な医療保険に入っておくと安心です。
なお、保険は、若いうちに加入した方が保険料を抑えられます。しかし、結婚や出産といったライフステージの変化や時代の変化に応じて、適切な保険が変わることもあるでしょう。終身保障が受けられるタイプの保険と、定期保障タイプの保険のどちらが適しているかは、それぞれの人の状況や考え方に応じて決まります。
2.結婚したとき
結婚をしたら、夫婦が加入している保険を改めて確認しましょう。
結婚後は、夫婦で1つの家計を維持することを目的に資産管理や家計管理を行います。現在加入している保険を見直してリスクに備えましょう。
結婚後は、万一の際に家族を守るために死亡保障を受けられる保険への加入を検討してください。同時に、医療保険の見直しも必要です。病気やケガで治療費がかさんだり、収入が減少したりしても家計を維持できる保険を検討しましょう。
なお、出産を予定している女性は、特に医療保険の見直しや新規加入を検討する必要性が高くなります。医療保険の中には、妊婦や帝王切開経験者が加入できない商品や、保障内容が限定される商品もあるからです。出産時に保険を利用できる可能性もあるため、早めの見直しがおすすめです。
3.出産したとき
子どもが生まれたら、生命保険や収入保障保険を2人暮らしのときよりも手厚くする必要が出てくるでしょう。また、教育費をカバーする学資保険への加入検討も必要です。学資保険は限られた期間しか加入できません。計画的に学費をためるために、妊娠中から保険の比較を始めておくと良いでしょう。
また、出産後は、病気やケガで働けなくなったときのために就業不能保険への加入を検討する時期でもあります。出産後の妻は、育休や短時間勤務によって収入が減少するケースが多いでしょう。
4.子どもの成長に応じて
子どもの成長に応じて、必要な保障は変わってきます。就学前の子どもはこれからまだまだお金がたくさんかかりますが、大学に入学後は、大学費用だけでおおよそ教育費はカバーできるでしょう。
ただし、成長に応じて保障を低くして良いとは限りません。進路に応じて、学費が想定よりもかかることもあります。進路が決まったら、それに応じて計画的に資金を準備しましょう。加入している学資保険の不足分をどのように補うのか、保険を含め幅広く検討しなければいけません。
なお、子どもの医療費は基本的に一定年齢まで無料です。何歳まで無料かは自治体によって異なりますが、子どもの医療保険に加入する必要性は低いでしょう。お住まいの地域の制度を確認した上で検討してください。
5.住宅を購入したとき
住宅を購入したときは、団体信用生命保険(団信)への加入有無や保障内容に応じた保険の見直しをしましょう。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者に万一のことがあった際などに、残債が保障される保険です。詳しい保障内容は契約した保険によって変わりますから、加入前に必ず確認してください。
団体信用生命保険に加入した人は、その分、重複している万一の際の保障を減らせる可能性があります。また、手厚い特約がついていれば、医療保険も見直せるかもしれません。ただし、具体的な見直し内容はご家族ごとのライフプランに応じて変わります。「団信に加入したから生命保険をやめて良い」というわけではありません。家族の将来を見据えて検討することが大切です。
6.個人事業主になったとき
個人事業主は会社員よりも手厚い保障が必要になる可能性が高くなります。保険の見直しを行いましょう。
会社員から個人事業主になると、勤務先の社会保険から脱退しなければいけません。個人事業主が加入する国民年金は、厚生年金に比べて将来の年金受取額が少額ですし、国民健康保険には、会社の健康保険にある「傷病手当金」や「出産手当金」といった制度がありません。これらをカバーできる生命保険や収入保障保険、所得補償保険、医療保険などへの加入を検討しましょう。
なお、年金の不足には個人年金が効果的ですが、こちらは国民年金基金やiDeCoといった制度も利用できます。求める保障内容や考え方に応じて検討してください。
7.子どもが独立したとき
子どもが独立すると家族構成が変わりますから、保障の内容も見直しましょう。
子どもの教育費や生活費への備えがいらなくなるため、一部の保険を縮小したり、解約したりできるかもしれません。自分や配偶者など、子ども以外の家族に必要な保障について検討します。
また、子どもの医療保険などに加入している人は、契約者を子どもに変更するか、解約して自分で加入するか選ばせると良いでしょう。独立したばかりの子どもに、保険やライフプランについて教えるきっかけにもなります。
なお、子どもが独立した後は、老後が視野に入る時期でもあります。年金生活を視野にいれて、介護費や医療費、老後のお楽しみ費、自宅のリフォーム費などに不足がないか、資金計画を今一度しっかり見直すべきタイミングだといえるでしょう。
保険の見直しタイミング②保険の更新時期
保険の更新時期が近づいたら、更新がベストな選択かどうか改めて考える必要があります。
保険には、更新がない「終身保険」と、定期的に更新を行う「定期保険」があります。定期保険は終身保険に比べて保険料が安価で、手軽に入りやすい保険です。ただし、更新のたびに保険料が上がってしまうこともあります。
たとえば、ある死亡保険の保険料は30歳男性10年定期、死亡保障1,000万円のとき1,068円(月)です。しかし、同じ条件で40歳だと保険料は1,925円(月)、50歳だと4,217円になります。更新するのか、別の方法で備えるのか検討しましょう。
また、医療保険にも定期更新されるタイプがありますが、こちらも更新ごとに保険料が上がります。更新前に保障内容と保険料を確認しましょう。
保険を見直す手順
保険の見直しは、3つのステップに沿って行うのがおすすめです。
以下の人物の見直しを例に保険の見直し方について解説していきます。
モデルケース | |
---|---|
保険加入者 | 53歳/男性/会社員 |
家族構成 | 妻50歳(専業主婦)、子供23歳(1人・会社員) | 加入中の保険の種類 | 死亡保険/保障額(1,000万円) |
保険料 | 1,419円/月 |
保険料の払込期間 | 20年 |
保険金と支払われるタイミング | 死亡時に1,000万円、解約返戻金なし |
特約の有無と内容 | なし |
保障期間(更新時期) | 20年(2024年) |
この人物は、34歳のときに20年定期の生命保険に加入しました。満期が近づいていることから、保険の見直しについて検討しています。
step1:現在加入している保障内容を確認する
保険の見直しをするときは、まず、現在加入している保険の保険証券などを用意し、保障内容を確認してください。
医療保険、生命保険、年金保険など、保険にはさまざまな種類があります。すべての保険について、以下を書き出しましょう。
- 保険料
- 保険料の払い込み期間と更新時期
- 保険金と支払われるタイミング
- 特約の有無と内容
- 保障期間
すべて書き出したら、保障内容や特約に重複がないか確認してください。重なっている特約を外したり、保険を見直したりすれば、保険料を抑えられます。
モデルケースの人物の場合は、以下の通りです。
モデルケース | |
---|---|
保険料 | 1,419円/月 |
保険料の払込期間 | 20年 |
保険金と支払われるタイミング | 死亡時に1,000万円、解約返戻金なし |
特約の有無と内容 | なし |
保障期間(更新時期) | 20年(2024年) |
この人物は保険料の払い込み期間と保障期間が同一ですが、保険によって、保険料の払い込み期間と満期が異なることもあるため、両方を見ておくと安心です。なお、このケースでは保険は1本しか加入していないので、重複はありません。
step2:これから備える必要があるリスクについて考える
これからの人生では、どんなリスクに備える必要があるかについて考えましょう。
- 死亡
- 病気やケガ
- 転職や業績不振、失業などによる収入減
- 老後(長生きリスク・年金不足)
- 介護(親・自分・配偶者)
- 子どもの進学 など
進学はリスクではありませんが、大きな支出が見込まれるため、予定しておく必要があります。
モデルケースの場合、子どもは独立していますから、教育費への備えは不要です。一方、それ以外のリスクについては考えておく必要があるでしょう。
子どもが独立しているとはいえ妻は専業主婦ですから、男性の死亡や収入減などがあった場合、遺族年金や貯蓄で生活を維持できるか検討しなければいけません。また、リタイア後の年金生活で、生活費不足に陥らないかどうかも考える必要があるでしょう。
step3:保障したい内容と必要保障額を決める
リスクを洗い出したら、そのリスクに備えるために必要な保障の内容と必要な金額を検討しましょう。
たとえば「死亡リスクに備えたい」ときは、生命保険や収入保障保険への加入が必要です。保障金額は、以下の式で求めましょう。
- 必要な保障額=遺された家族の生活費-(預貯金額+受け取れる公的年金額+家族の収入見込み額)
モデルケースの場合で考えてみましょう。
この家庭の生活費は25万円で、子どもから毎月5万円を生活費として受け取っています。ただし、子どもは今後家を出る可能性もあるため、考慮しません。
妻1人の生活費が15万円程度かかり、妻は働かない、遺族年金は約10万円(2022年時点)、現在の預貯金と死亡退職金額の合計が2,000万円、妻は95歳まで生きると仮定します。
15万円×12カ月×(95-50)=8,100万円
10万円×12カ月×(95-50)=5,400万円
8,100万円-5,400万円-2,000万円=700万円
介護費や医療費、家のリフォームなどイレギュラーな支出があることを考えると、1,000万円から1,500万円程度の生命保険に加入しておくと安心でしょう。
とはいえ、必要な保障内容や金額は、それぞれの家庭の状況や考え方によっても変わります。年金額や生活費なども異なるため、正確な見積もりを行いたい場合は、専門家に相談するのがおすすめです。
保険を見直す際に注意すること
保険の見直しは、十分な検討を基に行わなければいけません。焦って見直しをすると、かえって損をしてしまうこともあるので気を付けましょう。保険を見直すときに意識しておくべき注意点を3つ紹介します。
焦って解約しない:減額や払済という形で保険を継続することもできる
保険料が負担に感じられたり、ほかの保険に乗り換えたりする際、焦って元の保険を解約しない方がいいケースがあります。
保険契約は、減額や払済という方法で継続できる可能性があります。保険料が負担なのであれば、保障額を減らして減額できないか検討しましょう。また、払済という方法なら、その後の保険料の納付を完全に止められます。保障額はこれまでに納付した保険料に応じた額に減額されますが、新たな支出なしに万一の備えを継続できる点は魅力です。
まずは、契約している保険がどのような制度に対応しているのかを確認してください。よくわからない場合は、保険会社や専門家に相談すると、詳しい条件や対処法を教えてもらえます。
保険料だけで決めない
保険の見直しは、保険料と保障内容を総合的に確認した上で行わなければいけません。保険料だけで見直しをすると、保障内容が不足したり、重複したりする可能性があります。
そもそも、保険は「いくら払えばいい」というものではありません。リスクに対して必要な備えをするためのものですから、保険料を第一に考えるのは本末転倒です。まずは、リスクとそれに備えるためにどうすれば良いのかを考えてください。必要な保障に応じた保険を複数ピックアップした後、最後に保険料と保障内容のバランスについて検討しましょう。
新しい保険の方がお得とは限らない
保険契約に関しては、一概に古い契約よりも新しい契約の方がお得とはいえません。確かに、新しい保険の方が時代に合った保障を受けられる商品が多いでしょう。しかし、保険の種類によっては、返戻率の高い「お宝保険」に加入している可能性もあります。
たとえば、個人年金保険や学資保険などは、昔の方が高利率でした。しかし、医療保険の場合、古い契約だと入院4日後からしか保険金が受け取れないものが多く、入院の短期化が進んでいる昨今の医療事情にはそぐわない内容となっています。
一概に新しいものにすれば良いとはいえませんから、保険ごとに内容を確認しましょう。
保険の見直しの相談先
保険の見直しをするなら、プロに相談するという方法もあります。保険は適切に見直すために必要な知識や専門用語も多く、「難しい」「わからない」と感じる人も多いです。以下のような相談先を頼るのも一案です。
保険会社 | 保険見直しサービス | 保険の専門家 | 資産アドバイザー | |
---|---|---|---|---|
メリット | 今の保険内容について詳しく教えてもらえる | 複数社の保険を比較して教えてもらえる | 保険を使った税金対策や相続対策などにも詳しい | 家計管理や資産運用などより幅広い相談に対応できる |
デメリット | その保険会社の保険しか説明できない | 不要な保険への加入をすすめられることも | 無料ではなく費用がかかる場合もある | 無料ではなく費用がかかる場合もある |
(1)保険会社に直接相談
「自分が加入している保険の内容がよくわからない」「今の保険の保険料を抑えるにはどんな方法がある?」といった疑問を持っているなら、契約している保険会社に直接問い合わせてみてはいかがでしょうか。
保険会社のコールセンターや相談窓口に電話すれば、契約内容を見ながら1つ1つどんな内容なのか説明してもらうことも可能です。また「この特約を外したら保険料はいくら下がる?」といった質問にも、その場ですぐに計算して回答してくれます。
(2)保険見直しサービスを利用する
保険の見直しサービスは、複数社の保険を比較して検討したい人に向いています。前述の保険会社への相談だと、その会社の保険の話しかできません。
近年増えている保険見直しサービスなら、A社とB社で同条件で保険料の見積もりを取る、どう違うのか説明を受けるといったことが可能です。店頭窓口まで行くタイプもあれば、オンラインで相談できるタイプもあります。
(3)保険の専門家に相談
「保険の専門家」と呼ばれる人には、保険会社の営業担当者、ファイナンシャルプランナー(FP)などさまざまな人がいます。
前述の保険見直しサービス同様、複数社の保険会社を比較した内容を提示してくれる人もいます。また、保険だけでなく家計管理全般の相談に乗ってくれる人もいるので、より幅広い悩みや疑問に対応できるでしょう。
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