日経平均予想レンジ 16,594~17,291円
今週は、欧米株高や原油高・円高基調の一服感など投資環境の好転を背景に、日経平均は3日続伸から3/31以来の16,900円台まで上昇した。
週末には、直近大幅上昇の反動や、G20共同声明・産油国会合などのイベント前で上昇一服感が強まった。
テクニカル面では、4/8安値15,472円で2番底形成の期待は強まった。2/12安値時(14,865円)の日経平均採用銘柄のPBRが0.99倍で下げ止まった。PBR1倍は理論上の解散価格と捉えられ、株価の下値限度とされる。4/8安値は1.03倍となり、ほぼ下限に近づいた。
また、日経平均は25日・75日移動平均線を上抜き、さらに25日線が上向きに転じ、先高を暗示している。これにより、3/14高値17,291円を抜けると2番底が確認され、本格反騰への期待は膨らんでくる。
需給動向では、4月第2週の裁定残高は2012年10月以来、1兆8,100億円と低水準となり、裁定株数も13億株に大幅減少した。
東京市場の先行き懸念から海外勢がポジションを縮小したとみられるが、投資環境好転で新たなポジションの組み直しによる裁定買いで株価上昇に弾みがつくことが期待される。また、4/14発表の投資主体者別売買動向で海外投資家が14週ぶりに買い越しに転じたことで、需給は大きく改善しつつある。
注目は、米国株と比較した日経平均の出遅れの顕著さだ。日経平均の予想PERは14.45倍(4/12)に過ぎず、米国株の17.5倍より割安感が強く上昇余地はあるだろう。NYダウが17倍台であることを踏まえれば、日経平均はバリュエーション的には16倍の17,700円まではフェアバリューといえそうだ。
一方、4/12に発表したIMFの世界経済見通しで、日本経済について、資源安や補正予算の効果が成長を後押しするものの、消費増税で2017年はマイナス成長に落ち込むと見込んだ。その上で、2017年の日本のGDP成長率を-0.1%とし、前回(1月)から0.4ポイント下方修正、先進国では唯一日本の低迷が目立つ。
ただ、市場では既定路線になりかけている「消費増税先送りの思惑を後押ししそうだ」との見方も出始めた。いずれにしても、消費増税を打ち消すような財政措置で影響を緩和することが求められる。
以上、来週の相場は、投資環境の好転に加え、需給改善を背景に、本格反騰への足掛かりを掴む局面と捉えている。日経平均のレンジとしては、上値は3/4高値17,291円が意識され、下値は25日線16,594円が目処となる。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト