第2ステージ:購入後は「利益を出す経営者」として行動
次に不動産投資の2つめのステージでは、利益を出す経営者として考え、行動することが求められる。不動産事業として、ひたすら利益追求を経営の第一の目的としなければならない。
①収入を最大化し、経費を節減
経営者は利益追求のために購入した不動産の収入を最大化し、経費を節減する。自分の趣味嗜好で回収に10年もかかるようなバリューアップ工事は決して行わない。
②税務を他人任せにしない
税務も利益を追求する上で大切な要素だ。本物のオーナー経営者は「会計や税務は税理士にまかせてあるから大丈夫」とは絶対いわない。なぜなら、税理士が、経営者の舵取りにあわせてアドバイスと実務を行うスタッフだということを知っているからだ。
③財務諸表を読みこなす
経営者が正しく経営を行うために、財務諸表を読みこなすことは必須事項となる。融資を受けて物件を購入すれば、決算期毎に金融機関は経営者の成績表である財務諸表をウォッチしている。財務諸表は金融機関が経営を診断するためのカルテというわけだ。金融機関は経営の健康状態をこのカルテから読み取り、経営者の手腕を判断し、格付けを行う。
つまり、財務諸表を読めないと経営状態を把握できていない経営者という烙印をおされて、その後の融資に大きく影響がでることもある。日々変化する経営状態を把握し、改善し、利益を追求し、金融機関の格付けを上げていくということがこのステージで経営者として考え、行動する重要な目的であり使命になる。
第3のステージ:売却時は「投資家と経営者」の顔を併せ持つ
さて、3つめのステージ「売却」では、投資家と経営者両方の考えと行動を合わせ持つ必要がある。
不動産事業を経営していく中で、経営者は保有するより売却したほうが良い物件や時期を財務諸表から読み取ることができる。
また、修繕計画等を盛り込んだ不動産事業の長期収支シミュレーションを行えば、物件の売却適正時期が自然と導きだされる。
これは、一般の事業に比べて収支に大きな変動が出にくい不動産投資事業ならではの特徴といえるだろう。シミュレーションと不動産の市況等を合わせて考えると、不動産投資の出口をどこに設定するか経営者として予測することが可能となる。
そして、投資の出口では、売却の目的について経営者目線だけでなく投資家としての考えをこの時点で再度持つ必要がある。売却して別の物件を購入するのか、次回の参入時期までタイミングをみるのか、別の投資をするのかを考えなければならない。ここで、投資家の目線で再度考え、行動に移していく。
不動産投資は、物件を購入しただけでは結果はわからない。勝ち続けるために正しい目を養うということは、投資家の目と経営者としての目を各ステージに合わせて正しく活用するということである。
黒木陽斗(くろきはると)
投資家。米国大学卒後、一部上場大手企業を経て、シリコンバレーのベンチャー企業へ転職。ヘッドハントで6社以上の会社を渡り歩き、起業家など多くのビジネスエリートたちと接する中で、共通する考え方や習慣に気付く。それを不動産投資に応用して成功させる。現在は、一棟マンション、区分不動産、駐車場を複数所有するに至る。著書に『金持ちリタイア・貧乏リタイア〜社長より稼ぐサラリーマン大家の不動産投資術〜(ぱる出版)』、『シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する 使っても減らない5つのお金のルール(扶桑社)』がある。
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