日経平均予想レンジ 16,570~17,572円
今週は、先週大幅高した反動から日経平均は17,200円まで売り込まれ、下げ止まりをみせた。週末には、FOMC声明後のNYダウ上昇の流れを引き継ぎ17,500円台まで買い進まれたものの、日銀会合で金融政策現状維持が決まり、失望感から16,600円台まで急落するなど波乱の展開となった。
注目の日米金融会合は、26-27日のFOMC声明では早期利上げを高めるような文言は入らず、安心感が広がった。6月利上げの可能性は残るが、EU残留の是非を問う英国の国民投票も重なるため、現実的には難しいとの見方が多い。
一方、27-28日の日銀会合では、金融政策の現状維持が決まった。事前では追加緩和の期待が高かったため、梯子を外された格好となり、失望感が高まっている。
国内政策では、政権基盤が安定している安倍政権は、景気対策のための大規模な補正予算に加え、災害復興のための補正予算を早期に検討する可能性は大きく、公共工事請負金額の伸びも期待できそうだ。公共投資は、減税や金融緩和より景気浮揚効果が直接的で、株価押し上げ効果は大きい。
一方、2015年度決算と2016年度業績予想の決算発表は山場を迎えている。日経平均採用銘柄の2015年度決算における予想利益は、足元では1,110円前後。円高と中国事業の減損に伴う巨額損失などから、今年に入って大幅下方修正された。
ここ数年の日経平均と予想利益との関係をみると、現在の日経平均の水準は予想利益に見合う適正水準となっている。2016年は損失分がなくなり増益要因となるものの、為替が2015年より円高となれば円高分が減益要因となり、予想利益は2015年並みとなりそうだ。
従って、原油高に加え、追加緩和と財政出動が実現すれば、円安進行による予想利益拡大の可能性は十分あるとみられるだけに、為替相場が鍵を握っているといえそうだ。
テクニカル面では、日経平均は上向き傾向の25日線の上方で推移することで、リバウンド局面は継続する。ただ、3月もみ合った17,000円水準を割り込むと、当面は反騰途上の調整局面入りの可能性は強まると捉えられる。
以上、大型連休明けの株式相場は、5/26-27の伊勢志摩サミットを睨み、再び政策期待復活から出直りを探る局面となろう。日経平均のレンジとしては、上値は4/22の終値17,572円が意識され、下値は4/18窓埋め16,570円が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト