週間株式相場見通し,反騰相場
(写真=PIXTA)

日経平均予想レンジ 16,106~16,845円

連休明けの株式相場は、欧米株高に加え、外為市場での109円台への円安進行が支援材料となり、国内企業業績に対する過度な懸念がいったん後退した。日経平均は直近の下落幅が大きかった反動もあり、4日続伸から下落分の半値戻しの水準まで買い進まれた。週末は、オプションSQ値の16,845円に届かず、幻のSQ値となったことで、上値の重さが意識された。

株式相場反転のきっかけとなったドル・円相場について、5/9麻生財務相が財政金融委員会で「急激な為替変動が経済に好影響を与えないことはG7・G20でも合意されており、一方的に偏った状況が続くなら介入する用意がある」と述べ、最近の為替動向は一方向に偏しており、さらにこの方向に進むのは断固として止なければならないと強調した。こうした牽制に加え、欧米株高や原油価格上昇で投資家のリスク志向が強まり、安全資産とされる円買いを手控える要因となった。

一方、これまでに決算発表を終了した企業の多くは、今期業績の前提為替レートを1ドル=110円程度に設定している。今回の国内主要企業の決算発表をみると、今期業績が減益となる見方が強まっている。また、株価支援材料と位置付けられる政府の経済対策についても「あって当たり前」の雰囲気になりつつある。それだけに、中長期的な円高一服の定義を印象付ける米利上げシナリオの織り込みや、6月にも日銀の追加金融緩和や、サプライズを伴った大型の財政出動が待たれる。

特に、熊本地震の復旧・復興のため、2016年度の大規模な補正予算編成がサミット前に成立することが望まれる。公共投資は減税や金融緩和より景気浮揚効果が直接的で、株価押し上げ効果は大きい。

テクニカル面では、2/12安値14,865円と4/8安値15,471円を結ぶ上昇トレンドラインを割り込んでいないことから、切り上げ型の反騰相場基調は継続している。今週は、4/28窓埋め16,652円や4/25高値から5/2安値の半値戻しに当たる16,794円を達成したことで、自律反発に一巡感が出やすい局面にはある。今後さらに上値を試すには戻り売りをこなす売買エネルギーの拡大が不可欠となる。

以上、来週の株式市場は、欧米株式や為替相場の落ち着きに加え財政出動など政策期待を背景に、反騰相場が試される局面と捉えている。日経平均のレンジとしては、上値は5月SQ値16,845円が目処となり、下値は5/6終値16,106円が意識される。

株式相場見通し5-13

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト