◯クラウドファンディングの今後の展開〜JOBS法により出資も可能に〜

2012年12月現在のクラウドファンディングによる調達は、プロジェクトへの寄付、または商品の事前購入という枠組みが主流です。 株式の購入という出資形式の枠組みはほとんどありません。
しかし、2012年4月6日オバマ大統領が署名したJOBS法〔雇用創出法〕により、大きな変化が起るのではといわれています。

これまでアメリカでは、一般市民が未公開企業に投資(株式を取得する出資)をするには、 厳しい制限 をクリアし、適格投資家(accredited investor)に認定される必要がありました。
適格投資家とは、米国証券取引委員会(SEC)によって、非公開企業やヘッジファンドなどの未登録証券に投資する事を許可された個人または法人を指します。上記の投資先は、ハイリターンを追求出来ますが、同時にハイリスクで流動性も低く、かつ高度な投資判断も必要とされています。これらへの投資は、米国では適格投資家と認められた人々にしかできません。

そしてその適格投資家の条件なのですが、下記の①か②、いずれかを満たす必要があります。

①現在の年収が20万ドル以上あり、それが継続できる見込みがある個人。
(既婚者の場合は、夫婦で30万ドル以上の年収が継続的に必要。)
②純資産が100万ドル以上ある個人。

※ちなみに法人の場合は、500万ドル以上の資産を保有することが条件とります。

「これだけの収入がある、または資産を保有している投資家なら、投資に伴うリスクを理解しているだろう」という前提に基づいているそうです。
そして当然、この条件を満たせる人物は 非常に限られます。 この制限があるため、クラウドファンディングによって、大多数の個人が未公開企業の株式を取得するということは、難しい状況が続いていました。

参考: 日本での家計の富や富裕層の特徴とは?〜グローバル・ウェルス・レポート2012より〜

しかしこのJOBS法によって、未公開企業が適格投資家以外の一般市民から、資本を調達するクラウド・ファンディングが合法化されることとなります。尚その時期ですが、JOBS法が正式に施行され、出資型のクラウドファンディングが解禁される時期は、2013年の中頃ではといわれています。

このことにより、クラウドファンディング業界が新たな進化を遂げ、よりいっそうの成長をすることが期待されています。
今後の動向が楽しみな分野といえるのではないでしょうか。

※なお、こちらのページにて一部ですがIT業界の2013年の動向についても触れています。宜しければ併せてお読みください。
各雑誌2013年予測特集の要点まとめ【主要産業編】

BY TOMB

【参考】
JOBS〔雇用創出〕法にオバマ大統領が署名―業界はクラウド・ファンディングの自主ルール制定を急ぐ
なぜ「クラウドファンディング」が注目を集めるのか 米インディーゴーゴーCEOに聞く