病気や事故で入院・手術・まさかの死亡。そんな“いざ”というときに、経済的に頼れるのが傷害保険や生命保険。「将来的には結婚も……」と考えている大切な相手ならなおさら、もしものときのためにも加入しておいてほしいものです。
ですが、保険は誰でも契約できるわけではありません。健康状態だけでなく、実は職業によっても加入できない場合があることをご存知でしょうか。
保険加入制限、キーワードは「危険度」
保険は、同じ条件の人がお金を出し合って支えあう「相互扶助」の仕組みです。そのため、保険に入る場合には、保険金の支払われる確率を加入者全体で同程度にしておく必要があります。年齢、性別、健康状態だけでなく、職業も重要な判断材料となるのです。
一概に職業といっても、内容は実にさまざま。1日のほとんどをオフィスで過ごすデスクワークや、医療従事者・教員・技術職など、主に屋内勤務の専門職、デパートをはじめとする一般的な接客業など、危険度が小さいといえる職業の場合、保険加入の際に問題になることはほとんどないでしょう。
ところが、肉体的に危険を伴う仕事であれば、保険の加入が難しくなることがあるのです。例えば、次のような職業は保険会社によっては加入が難しいとされています。
- スタントマン、テストライダー、ダイバー、登山家
- 競馬騎手、競艇・競輪・オートレースの選手
- 格闘家(プロボクサー・プロレスラー・空手家)
- 一部のスポーツ選手(アイスホッケー・ラグビー・力士)
- 猛獣取扱者(動物園の飼育係を含む)
また、加入はできるものの、保障金額の上限が定められていて高額な保険は契約できなかったり、事故の場合に手厚い保障が受けられなかったりする職業もあります。一例として挙げてみましょう。
- タクシー・トラック・貨物自動車・ダンプカーの運転者
- 民間警備員
- 建設作業者(大工・とび工・配管工など)
- 土木建設用重機操作員(クレーン・ブルドーザーなど)
- ダム・トンネル掘削作業者
もう一つ、無職の方も生命保険への加入を制限されるケースがあることを付け加えておきます。 保険は経済的損失を補うものです。無職の方が病気や事故に遭った場合、治療費はかかりますが、仕事をしている人のように収入のダウンにはなりません。そのため、保険の対象にはならないと考えられる可能性があるのです。
ファッションタトゥーにも気を付けて!
最近はファッションとしてタトゥーを入れる人も珍しくないようですが、サイズの大小にかかわらず、入れ墨やタトゥーをしている人は保険加入できないとする保険会社もあります。かつては、契約時に医師の診察を受け、その際にタトゥーをしていることが分かったとして、保険会社から契約を断られたという話もあったそうです 。
ちなみに、反社会的勢力関係者は保険には加入できません。
2人の将来を話し合ってみましょう
彼が職業上の理由で保険に入れない。これは確かに不安になります。では、具体的に何がどのくらい心配なのでしょうか? 大きく2つに分けて考えてみましょう。
病気や事故の治療費が心配
まずは公的保険の保障内容を確認しましょう。会社員の場合、業務上の事故であれば「労災」の対象になり、自己負担はありません。念のために社内規定などで確認しておきましょう。ただし、労災認定までには日数がかかる場合もあるので、貯金も必要です。
業務上の病気やケガでなくても大丈夫。連続で4日以上 仕事を休むことになった場合には、1日につき標準報酬日額の約2/3を「傷病手当金」として受け取ることができます。
会社員でない場合は、国民健康保険と国民年金の加入手続きを忘れずにしておきましょう。公的保険は健康状態や職業にかかわらず加入できます。そして、公的保険に入っていれば、治療費の自己負担の上限が定められているのも安心ですね。
2人の将来が心配
そもそも、彼がなぜ「危険を伴う」職業を選んでいるのか、尋ねてみたことはありますか?
「危険は承知のうえ。誇りをもって選んだ仕事だ!」そう言う人もいるでしょう。けれども、もしかすると、自分が家族を持ったときのことをあまり考えていなかったのかもしれませんし、障害保険や生命保険の対象外となることを知らずにいた可能性だってあります。
そういった心配が少しでもあるのなら、そのままにせず、ぜひ話し合ってみるべきです。もちろん、保険に入れるか否かで恋愛の行方が決まるわけではありませんが、保険に入れないことを踏まえたうえで、彼が2人の将来をどのように考えているかはとても大事なことです。
この機会に、2人の人生観、職業観も含めてゆっくり話し合ってみてはいかがでしょうか。彼の将来性、また自分の将来を見定めるいい機会になるはずです。
タケイ啓子
ファイナンシャルプランナー(AFP)36歳の時に2人の子をつれて離婚し、大手生命保険会社に営業として就職。そ の後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを発症。現在はがんとお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。
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