昨年のことです。1カ月半後に結婚式を控えた友人から、突然わたしの携帯に「結婚式ってキャンセルできるかな?」とのメッセージが入りました。何事かと連絡してみると、どうやら仕事でお互い忙しいなかで結婚式の準備をしていて、相手の男性ともめたり、頼りなさを感じるようになったとのこと。

「結婚式の会場は半年前に押さえていて招待状も出しちゃったけど、今さら式場のキャンセルってできるのかな……? この結婚はやめておいたほうがいいのかも」

彼女は珍しく落ち込んでいました。結果的には、相手の男性と仲直りして結婚式を挙げ笑い話になったのですが、ふと「結婚式を実際にキャンセルするとどれくらいの費用がかかるんだろう?」と気になり、調べてみました。

キャンセル料って何?

例えば、レストランの席を予約していたが、やむを得ない事情で行けなくなったとしましょう。お店に連絡をしてキャンセルした経験は、皆さんにもあるかと思います。

その場合、複数人数のコース料理などは別ですが、お店側から事前にキャンセル料の説明があったり、ホームページにキャンセル料について明確に記載されているなどの場合を除き、実際にお店にキャンセル料を支払うことになる可能性は少ないのではないでしょうか。

しかし、ホテルなど宿泊施設の予約では、チェックイン予定時間の直前や予定時間後のキャンセルに、多くの場合キャンセル料が発生します。 また、旅行会社のパッケージツアーのキャンセルにも、解約料はかかるでしょう。

キャンセル料とは大きく言って、解約に伴って発生する「事務手数料」と、解約に伴って発生する「逸失利益に対する損害賠償金」の2つに分けられます。レストランやホテルの場 合は当然ながら後者ですね。

結婚式場の場合も、予約した式場や時期などによって異なるとしても、ホテルや旅行会社と同様と考えられます。

例えば、都内でも人気の高い結婚式場の中には、予約日の5~4カ月前にキャンセルする場合でも、結婚式にかかる総見積金額の10~20%相当、10日~1週間前のキャンセルで、総見積金額の70~80%相当をキャンセル料として規定しているところもあります。

新郎新婦の病気や大けが、予期せぬ災害などで予約日に結婚式が挙げられず、延期せざるを得ないといった場合でも、キャンセル料は大抵発生します。 新郎新婦のもめ事やすれ違いによって結婚自体が破談になり、結婚式を取りやめることになった。そのような場合、決して少なくない金銭的負担が双方にかかるのも、仕方のないことだといえるのではないでしょうか。

ブライダル保険が始まった!

横浜市中区の「ホテルニューグランド」では、2016年4月より「結婚式総合保険」の取り扱いが始まりました。家財保険などを扱う保険会社アソシアが提供する保険で、震災や、新郎新婦のケガ・病気などによる結婚式の延期・解約、都合による結婚式の解約などを対象に、式や披露宴のキャンセル料金を補償してくれます。

プランによって異なりますが、新郎新婦が支払う保険料は1万~5万円。結婚式のキャンセル費用限度額は最大850万円までだそうです。

“ナシ婚”派が増えています

近年、結婚に対する概念が変わってきています。たとえ、長年パートナー関係を結び一緒に暮らしているとしても、結婚を「するか、しないか」は個人が選ぶ時代になりつつあります。また、入籍しても結婚式を挙げない、いわゆる「ナシ婚」カップルも珍しくありません。

2015年に結婚に関する口コミサイト「みんなのウェディング」が実施した調査によると、入 籍しても結婚式を挙げない男女は、入籍した男女の約半数に上るという結果が出ています。また、ナシ婚を選んだ理由としては

  • 経済的事情=「金銭的負担を減らしたい」「結婚式にかかる費用を他のことに使いたい」
  • さずかり婚であるため
  • セレモニー的行為が嫌=「結婚式を挙げる必要性を感じない」「形にとらわれたくない」 などのが挙げられています。

入籍したら「結婚式を挙げるべき」という時代は、過去のものとなりつつあるのかもしれません。結婚式をするかどうかは、あくまで当人同士の問題で、事情や考え方によって決めればいい。そのような考え方も突飛なものではなくなっているのです。

もちろん、結婚式を挙げると決めて会場を押さえ、招待客も確定していたのに、何らかの事情で結婚式をドタキャンするとなれば、家族や招待客、結婚式にまつわる多くの人に迷惑をかけることになります。

しかし、お互いの気持ちが完全に離れてしまったのならば、一旦ストップすることも考えてみては? 体裁だけで式を挙げても、当人同士が幸せでなくては意味がありません。

これからは、結婚式についてお互いじっくり話し合い、式を挙げない選択もあることや、万が一を考えてブライダル保険に加入することも、「結婚を決めたらやるべきこと」との一つとなっていくかもしれませんね。

Y子
大学卒業後、出版社勤務等を経てフリーライターに。インタビューや取材、記事制作などを行う。20代の終わりが近づき、ただ漠然と貯金をすることに疑問を感じ「投資」に関心が出てきた。

(提供: DAILY ANDS

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