新入社員が仕事に慣れてきたものの、まだまだミスや失敗の多い6月、早く成長してほしい一方、心が折れて辞められては困る、と上司や先輩の悩みは尽きない。部下や後輩とコミュニケーションをとる上で、追い詰めないように言葉をかけるポイントを紹介しよう。
責めるニュアンス入っていませんか? 叱る側も冷静になることが大事
1. 「社会人・職場の常識、知っていて当たり前」 知らないことを責めないで
自分が当然のようにこなしている仕事を部下ができないと、なぜ知らないのかとつい言ってしまいがち。そう言われたところで、「知らないものは仕方ないじゃないか」と思うのが若い人の本心。何の解決にもならないばかりか、「私は非常識なのか?異常なのか?」と不安にさせてしまう場合もある。
知らないことを責めるのではなく「きちんと知ってもらう」ことを最優先に考えよう。例えばメールひとつとっても、今まで同世代とのやりとりしか経験していない彼らは相手に「様」をつける習慣を知らなくても不思議ではない。決して嘘をつく必要はないが「私も知らなかったからね」と添えれば、相手の知識の無さはやんわりと伝えられる。その上で、社会のルールや仕事の進め方をきちんと教えればいい。
2.「あの人はできるのに……」 成長速度は人それぞれ
部下の欠点を見ると、つい優秀な他人と比べてしまうものだが、口に出してはいけない。「同期の○○さんはできるのに」などもってのほか。「自分でも分かっていただけにヘコむ」という若手社員に追い打ちをかけてはいけない。これで自信をなくすと、仕事のやる気も削がれるなど裏目に出ることが多い。
「誰でも最初はできないものだ」とフォローをして「自分だけが劣っているわけではない」とまずは安心させることだ。部下の「成長したい」という気持ちや仕事への意欲を不必要にそぐことはない。比べるべきは「デキる」他人ではなく、部下の過去。以前と現在とを比較して、成長しているかどうかで、仕事ぶりを判断するようにしたい。
3.「どうしてできないの?」 悩んでいることに追い打ちをかけない
感情的になったとき、つい出てしまうのが「なんでできないの」。それが分かれば苦労しないので、悩んでいる人には辛い言葉だ。
相手に気持ちをぶつけるだけでなく、「原因はどこにあったのか」「改善するにはどうすればいいのか」という質問を重ねて検証しよう。指示をするだけでなく、本人に考えさせることが大事だ。例えば、部下が取引先に失礼をしてしまった場合「もし○○社の人がウチに対して同じことしてきたらどう思う?」と具体的にイメージしてもらうと部下の記憶にも残り、同じ過ちをしにくくなる。
「慰めよう・労ろう」が裏目に出ています。 意図がわかるように伝える
負のスパイラルに入っていると、優しい言葉でさえ、うっかりすると追い詰めてしまうことがある。めんどくさいと思わずに、根気よく向き合うしかないのだ。
4.悪いのはあなただけじゃない=先輩に迷惑をかけた……
部下が失敗したときに「私の指示の仕方も悪かったんだけど」と枕詞で言ってしまう人は多いだろう。「あなただけが悪い訳じゃない」というフォローのつもりでも、中には「先輩の足を引っ張っている」と感じて自分を責めてしまう部下がいる。部下が失敗を充分に認識しているようなら、責任の所在には触れずに解決策を一緒に考えた方が、生産性が高い。
5.今日はもう帰ったら?=ここにいてはダメなんだ……
遅くまで残っている部下に「今日はもう帰ったら?」と帰宅を促すのも諸刃の剣だ。「あまり根詰めないように。あなたの体が心配だから」というところまで相手に伝わらない場合があるからだ。ただ退社を促すような言葉は「突き放されたような気がして、ショックだった」と感じてしまう人もいる。あくまで「無理をしないようにね」というスタンスを前面に出す必要があるだろう。
6.気にしなくていいよ=その程度の期待だったのか……
「気にしなくていいよ」もフォローのつもりで発したものの、相手を傷つけてしまう言葉の代表だ。相手を責めない態度が裏目に出てしまうことがある。「怒られないと『最初から期待してない』と言われたようでショック」と、突き放されたような気持ちになってしまう人がいるのだ。失敗した後輩の気持ちを軽くするためには、「今度は頑張ってみよう」と次につながる言葉をかけてあげるのがいいだろう。
部下の叱り方として、「借りてきたネコ」という、産業カウンセラーをしている渡部卓氏が提唱しているコピーがある。
か・感情的にならない
り・理由を話す
て・手短に
き・キャラクター(人格)に触れない
た・他人と比べない
ネ・根に持たない
コ・個別に叱る
ミスの報告を受けた時、最後に「きちんと報告してくれて助かるよ。こういうのが大切だからさ」と付け加えるだけで、部下は萎縮しないで済む。ミスを認めながらも「どうしたの。○○さんらしくないよ」と声をかければ、部下は自分自身が否定されているわけではなく失敗した「こと」に対して叱られているのだと分かり、冷静にミスと向き合える。部下とのコミュニケーションは「あくまで前向きに」が鉄則だ。(ZUU online編集部)
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