株式相場見通し,三角もち合い放れ
(写真=PIXTA)

日経平均予想レンジ 16,322~16,908円

今週は、米5月雇用統計が予想外に悪く、これを受けた米国株の下落や106円台まで上昇した円相場を背景に、日経平均は週初16,322円まで売り込まれた。その後、米利上げ後ずれ観測が強まり、NYダウが18,000ドルを回復したものの、円高警戒感から16,600円を挟んだもみ合いに推移した。

海外の焦点

注目の米5月雇用統計は前月比3.8万人増にとどまった。市場予測の15.5万人を大きく下回り、米利上げ判断には逆風となり、FRBの数カ月以内の利上げに水を差す格好となった。イエレン議長が雇用の内容に強い失望感を示したことで、夏場の利上げの可能性は遠のいたとの見方が広がってきた。6/14、15日のFOMCでの判断がハト派的な姿勢に転じるのか注目されている。6/23には英国のEU離脱を巡る国民投票を控えているだけに、市場では7月以降の利上げ観測が強まり、早くても9月のFOMC待ちとなった。

国内の焦点

国内では、消費増税延期もあり、6/15、16日開催の日銀会合では追加緩和は見送られるとのコンセンサスは強い。消費者物価は日銀が目標とする2%とはかけ離れた状態が続いている。この現実を踏まえて、黒田総裁が今会合で現行の年80兆円の資金供給ペースの増額発表となれば、異次元緩和と追加緩和を実施した過去2回(2013年4月、2014年10月)は、日銀の当座預金増加でドル上昇をもたらす原動力となっただけに、サプライズ追加緩和により、ドルの反発から円高警戒感が弱まり、株式市場上昇のきっかけとなることが期待される。

来週の株式相場

テクニカル面では、大勢的に見て、2月高値と4月高値を結んだ上値切り下げトレンドに位置する17,400円に対し、2月安値と4月高値を結んだ下値切り上げトレンドの位置する16,200円内での三角もち合いは継続している。中心値にあたる16,800円を上回ると上値挑戦局面となるが、下方で推移すれば調整の長期化が懸念される。週末には、75日線の16,642円や6月SQ値16,639円を下回り、両値が上値意識されそうだ。

日米の中銀会合を前に、様子見から手控えムードは広がりやすい。ただ、イベント終了後は出尽くし感から煮詰まりつつある三角もち合い放れのきっかけ待ちと捉えている。日経平均のレンジとしては、上値は6/1の窓埋め16,908円が意識され、下値は6/6安値16,322円が目処となる。

株式相場見通し6-10

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト