2016年は、バーチャルリアリティ(VR=仮想現実)元年と言われている。VRという言葉自体は古くからあるが、デバイスの進化によっていよいよ現実さながらのリアリティを持った3D映像が一般ユーザーでも体験できるようになってきた。まずはゲームとして普及しながら、適用範囲を急拡大し、スマホのように社会を変える可能性を秘めている。

各国で広がりをみせるVRビジネス

VRとは、コンピュータの中に作られた仮想的な世界を、リアル感をもって体験させる映像技術のことだ。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の進歩により、VRの映像技術が向上、世界中のメーカーが競ってVRゲーム機器を市場に投入しはじめた。

2016年に入って、米Oculus VR社の「Rift」、台湾HTC社の「Vive」、韓国LG社の「LG360VR」が「VRゲーム」として次々発売されている。各社ともゴーグル型のHMDを使う。米マイクロソフトも「Hololens」でVRに参入。日本メーカーではソニー <6758> が10月にHMDの「プレイステーションVR(PSVR)」を発売する。

ソニーは、VRの軸はゲームとしながらも、それ以外の音楽や映画、アニメーションなどのエンタテインメントにも広がる可能性を示唆している。発売開始から年末までに50を超えるタイトルをVR対応とするほどの入れ込みようだ。

2025年にはノートPC並みの市場規模へ

ちなみに、大手投資銀行ゴールドマン・サックスは、次に来るのはVRとAR(Augmented Reality、拡張現実)であり、世界のVR/AR市場は2025年に1100億ドル(約12兆円)と、現在のテレビやノートPC並みに成長すると試算している。

現在のVRはほとんどがゲーム用途だが、将来は医療や教育、エンタテインメント、スポーツなどへ広がる可能性が高い。航空機の操縦シミュレーターや医療の手術のシミュレーターといった教育分野ではすでに活用が始まっている。

旅行体験などエンタテインメント分野でも期待は高い。家にいたまま海外などどこへでも旅行体験ができるようになるだろう。不動産物件のVR化を進めることで不動産業界からの期待も大きい。賃貸、購入する物件はまずはVRで見る時代を迎えても不思議ではない。ゴールドマンのレポートでは、2025年には、ゲーム関連分野で116億ドル、医療分野で51億ドル、エンジニアリング分野で47億ドルと見積もっている。

ディー・エヌ・エー <2432> は、プロ野球チームの横浜DeNAベイスターズでVRサービスを導入した。韓国サムスン電子のゴーグル型HMD「Galaxy」を用いることで、野球場でまるでベンチに座ってチームの一員となったような高画質な360度ビューの映像コンテンツが楽しめる。

テーマパークでも期待は高い。すでにUSJにはHMDを装着したまま搭乗するジェットコースターのアトラクション「バイオハザード・ザ・リアル3」があり好評を得ている。ゲームメーカーのバンダイナムコ <7832> も、VR体験のできる施設をお台場に期間限定で設置している。

株式市場で注目される「VR/AR関連銘柄」

ゴールドマンのレポートが話題になったこともあり、株式市場ではVR/ARは世界的に注目されるテーマとなった。その中でも、代表的な銘柄を上げてみよう。

ソニーは、10月に「PSVR」を発売する。米国では3月22日にアマゾンで予約受付を開始したところ、499ドルの値段で4分間で完売してしまった。5月31日にはNHKの「クローズアップ現代」でVR特集として、PSVRが大々的に取り上げられた。技術の高さに加え、4万4980円という価格面も魅力的といえるだろう。すでに国内34社、全世界230社以上のパブリッシャー・デベロッパーがPSVRへの参加を表明している。

CRIミドルウェア <3698> は、ゲームやアミューズメント施設向けのミドルウェアを開発している会社としてVR関連としての期待は高い。VRの臨場感や没入感を深めるために欠かせない、音声再生・動画再生機能を強化している。VRコンテンツ開発にミドルウェアは欠かせない。PSVRのプラットフォームに対応したソフトも投入している。

サイバネットシステム <4312> は、ARコンテンツの作成・配布が可能なARポータルサービス「cybARnet(サイバーエーアール)」の提供を開始している。 ソニーが開発した高機能・高精度なARエンジン「SmartAR(スマートエーアール)」のソフトウェア開発キットの販売も開始しており、幅広いニーズに応える商品・サービスの提供を始めている。

ピクセラ <6731> は、VR映像のコンテンツの撮影からVRシステムの提供までのトータルサービスを展開している。360度カメラの米Sphericam社と業務提携し、同社のカメラソリューションを日本国内で販売展開することで、ピクセラのVRシステムサービスの普及を促進する。

eマーケティング企業のショーケースティービー <3909> も、VR関連事業に参入している。不動産系企業オープンハウスとの提携で、VRを活用した不動産サービスの向上を目指す意向を示している。

スターティア <3393> は、子会社のスターティアラボがAR制作ソフト「COCOAR」のサービス拡充として、3Dコンテンツが作れる「studio Safari(スタジオサファリ)」を開設した。ARコンテンツを制作で最も難しいとされる、3Dコンテンツの制作を支援している。

メディカル・医療分野にも広がりを見せる

ハーツユナイテッドグループ <3676> は、子会社のデジタルハーツが、VR関連のデバッグサービスを提供している。デジタルハーツは、主にゲーム機器・モバイル機器・アミューズメント機器を対象に、ユーザー目線による動作テストを通じて不具合を検出・報告するデバッグサービスを提供しており、VR分野でもその体制を強化していく。

テクノホライズン <6629> は、子会社のエルモが、Virtual Reality 360°(全天球パノラマ)撮影用カメラシステムにおいて、フランスのVideoStitch社と両社製品の開発及びシステムサポート、グローバル販売での協業を行うことを発表している。VRのプロフェッショナル向け新製品開発の相互協力、カメラとソフトウエアの最適化、グローバル市場における相互製品販売を行っていく。

サン電子 <6736> は、現実拡張システム「AceReal(エースリアル)」の開発を開始した。「AceReal」とは、AR技術を応用した企業向けの業務効率化システムのこと。出資先のInfinity AR社のAR技術と、業務提携を行うLumus社から提供されるディスプレイ装置を応用することで、空間や物体を認識し、使用者の目の前で現実世界とコンピュータ映像を融合させることが可能となる。

ジグソー <3914> は、資本提携をしているAR技術のリーディングカンパニーである英Kudan社が、「AR/VR エンジン+Unity 3D」を日本国内でリリースした。ウェアラブル向けAR/VRモジュール分野で、AR/VRエンジンの超小型軽量化およびLTE通信チップへのモジュール組み込みを行い、メディカル・医療分野の手術のサポート、製造業における機器のメンテナンスでの活用を推進する。(ZUU online 編集部)