東芝,白物家電
(写真=PIXTA)

東芝 <6502> が急伸して9日の年初来高値(296.2円)に肉薄した。不適切会計の問題で不安定な株価の動きが続いた同社だが、足元で仕切り直しのムードを強めている。ここへきて、複数の調査機関が高めの目標株価を打ち出してきたこともあり、15日は全体相場の波乱で失った過去2日分の時価総額を取り戻した。

同社は利益の水増しが判明した昨年から今年初めにかけ、従来500円前後にあった株価が一時100円台半ばまで大きく調整した。不祥事を背景に機関投資家などが見切り売りに動いた格好。ただ、株価が低位に達した上、会計問題をきっかけに構造改革が断行されたことで、改めて投資対象として同社を見る向きが増えつつある。

原子力事業での巨額減損の実施や、白物家電事業の売却を経て、収益性が向上。好調な半導体のNANDメモリーがけん引する同社の業績回復はいまや現実味を帯びている。CLSAでは14日付で、従来は4段階の3番目に当たる「アンダーパフォーム」としていた投資判断を一気に最上位の「Buy(買い)」に引き上げ、12カ月の目標株価を330円とした。

SMBC日興証券も、同日付で東芝の目標株価を200円から360円に見直した。今3月期の連結営業利益について、会社計画の1200億円を大きく上回る2000億円(前期は7087億円の赤字)を予想している。

一方、決算訂正や、構造改革に伴う特別損失で劣化した財務体質は、依然として東芝をめぐるリスク要因だ。目標株価を引き上げたSMBC日興も、10%を下回る低い自己資本比率などを踏まえ、レーティングは中立の「2」にとどめた。JPモルガン証券では5月26日付のリポートで、バランスシート面での次の株価材料について「9月以降仮に特設注意市場銘柄からの解除が認められた後の増資」だと指摘していた。(6月16日株式新聞掲載記事)

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