3.ソフトバンクへの影響

現行アリババの筆頭株主であるソフトバンクは、アリババの上場によってどのような影響があり、どんな動きをするのでしょうか?筆者は保有株式を売却し、キャッシュを確保する可能性があると見ております。

ソフトバンクは2000年に2,000万ドルを投じ、アリババに出資しました。報道ベースのIPO総額に現在の出資比率をかけて簡単に試算すると、50億ドル前後となり、14年間で25倍の利益を上げたという計算になります。また、IPO後はパートナーの支配権が強くなり、取締役もパートナーシップが認めた候補者をソフトバンクが認めなくてはいけない契約に同意したという事情を考慮すると、アリババへの出資目的は株式取得による支配力の強化ではないと考えられます。

一方、ソフトバンクのバランスシートを見ると、資産全体の占める現預金の比率が低下しております。2013年3月期では21%だったのが、2014年3月期では12%と大きく低下しております。一方、固定負債総額は2013年3月期の約1兆8,200億円から約10兆円と5倍以上増加しています。これはご存知のように、米スプリント買収を借入で行ったことが主な原因です。また、格付けについても2013年7月に米ムーディーズは「Baa3」から「Ba1」とジャンク財級に下がっています。すなわち、ソフトバンクにとってはキャッシュを入手しそれを負債の返済に充てることで、金利費用の削減等のメリットが大きい状態です。また、最近のM&Aの動向、例えばヤフーのイー・アクセスの買収中止のニュース等を考慮すると、ソフトバンクは通信インフラに関する買収に特化する方向にあるとも考えられます。

以上を考慮すると、ソフトバンクがアリババ出資分の全てではないにせよ、一部売却に動くことは十分考えられると思います。ただし、出資分を考慮すると株式市場に対する影響も大きいため、市場外の相対取引やM&Aの形で放出することが考えられます。ソフトバンクのアリババ株に対する動向は、ソフトバンクの株価にも大きな影響を与えると考えられるので、動向には目が離せません。

アリババ株が購入できるネット証券ランキング

1位: SBI証券
2位: 楽天証券
3位: マネックス証券