仏、独、英では役員報酬の過剰傾向に政府が介入

残念ながら、ウイリス・タワーズワトソンのデータは、各企業の役員クラスの報酬を開示していない。

ムスチッヒ氏の主張する「責任の重さ」を考慮に入れても、所得、労働力ともに、役員と一般従業員の間で桁違いの差が開いているのは、どこの企業も似たり寄ったりだろう。

こうした格差が限度を超えると、仏大手自動車メーカー、ルノーのカルロス・ゴーン取締役兼CEOの例のように、政府が介入する事態に発展しかねない。

今年5月、ゴーンCEOの高額な報酬に以前から異議を唱えていた仏政府が、法規制の介入をともなう「協議要請」を発令したことで、一気に世間の注目が集まった。民間企業の役員報酬に国家権力が介入するのは、極めて異例だ。

しかし世界規模で貧富の格差が深刻化している近年、今後こうした傾向が各国に広がりを見せる可能性がある。

EU離脱決定にともない新政権が誕生した英国でも、テレサ・メイ首相が「大企業上層部の独走を締め直す」と宣言。企業報酬決定の際、役員だけではなく、労働組合の代表にも発言権を与えるように働きかけていく構えだ。

すでドイツでは1976年以降、従業員数が2000人以上の企業には、取締役会の議席の半分以上、2000人以下の企業には3分の1を、労働組合の代表が占めるよう義務づけられている。
上層部と下層部の共同意思決定は、雇用確保やコスト削減という点ではプラスに作用するだろう。しかし革命や利益創出という点では、足かせになりかねないことから、賛否両論の意見が聞かれる。(ZUU online 編集部)

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