コスメのみならず、テレビも韓国に染まる中国

中華圏の有力誌である亜州週間によると、中国での韓流ブームは化粧品にはとどまらない。エンタメ界でも、韓国バラエティー番組の構成はそのままに、中国の芸能人を用いた番組が大流行しているという。こうした番組はすでに約20本放送されている。国営放送として、政治的宣伝の色合いが強い中国中央テレビまでもが、大々的な番組宣伝に乗り出しているほどだという。

韓国の放送局とプロダクションは、投資されるチャイナマネーの規模に影響され、中国一辺倒になっているのが実情だ。ただ、このような「共生関係」が、いつまで続くのかは不透明だ。中国政府が本気になれば、いつでも市場を制御できる中国で、当面の利益だけを見て動く韓流の現実は、資金の引き上げなど中国から強風が吹けば、どうなるかわからない。

旅行先としては敬遠される理由はボッタクリ商法?

中国『人民日報』のニュースサイト「人民網」は、2016年の春節連休の海外旅行人気ベスト3はタイ、日本、韓国の順だったと報じている。2015年は韓国が2位だったのだが、中国人観光客に対する、さまざまな違法行為が韓国へのリピート率を下げているのだという。

実際のところ韓国警察庁の発表によると、春節連休中にニセ物の販売、未登録の宿泊施設の運営、悪質なタクシーサービスなどの違法行為は、2015年と比べると3倍近い414件に上った。さらに、旅行先として韓国が不人気になっているのは、観光スポットが限られていることにも原因がある。韓国の観光地はソウルと済州島ぐらいしか、めぼしいところがないというわけだ。

効能で戦うか、パッケージで戦うか、その実力はいかに

現在、中国で韓国コスメが流行しているのは確かな一方で、決して無視できないリスクが含まれていることは見逃せない。確かに韓流の「文化輸出」が韓国化粧品産業に好影響もたらしている。だが、使用効果を高めるために、究極まで成分配合を追及してきた日本の化粧品と比較すると、韓国の化粧品は包装などの消費者心理ばかりに、重きを置いてきたとの評価もある。

すでに化粧品の研究は成熟期を迎えており、効能面で大きな差異を主張するのは難しくなっている。そのため流行を追若者に走らざるを得なくなっているのだろう。韓国コスメが掲げるオーガニックやナチュラルといったキーワードが、中国の消費者に刺さるという事実も指摘されている。

ただ同時に、マーケティング手法に頼っているのは、韓国化粧品の脆弱性を示しているのも事実だ。中国がノウハウを自分のものにしてしまった後にも、強みを保ち続けられるのかどうか。(ZUU online編集部)