アクサ生命,バックキャスティング
(写真= ZUU online 編集部)

「バックキャスティング」をご存知だろうか。将来を見通す際のアプローチの方法の一つで、ビジネスでもマネジメント層やリーダーに求められるスキルとして注目を集めはじめており、すでに実際に取り入れはじめている企業もある。

より具体的には「あるべき未来からの帰納」こそが、バックキャスティングのキモと言えそうだ。環境問題などの解決を目指す「持続可能な社会の実現」と言った課題に対して、より少量の二酸化炭素しか排出しない「低炭素社会」を実現するためにはどうすればいいかといった発想で問題の発見にもつながると期待されている。

アクサ生命も保険開発などで関心

そのバックキャスティングは、従来の現状の分析から演繹して未来を見通そうとするのではなく、目標となるような未来像を構想し、現在と比較することで課題を見つけ出そうとするアプローチ。ライフスタイルが多様化する中で、より豊かな未来への接近を目指す方法論だと言っていいだろう。

同アプローチの採用を推進しているのが、アクサ生命保険だ。同社とロフトワークスはこのほど共同で、バックキャスティングのアプローチを用いた保険についてのアイデアソン「未来をデザインする Insurance & Technology -システムデザイン思考で考える新しい保険」を開催しており、浸透を図るべくすでにスタートを切っている。

アクサ生命の担当者によれば、「部長クラスに対する研修として開催」したもので、社外からも参加者を募り、バックキャスティングに基づく保険についての斬新なアイデアを見出すべく議論の場が実現した格好だ。加えて「未来の保険を、保険会社が一方的にデザインし、被保険者が利用するのではなく、自ら未来の保険について考える」試みだという。

同イベントの参加者は全体で120人。アクサグループからは、60人が参加。加えて、パナソニックやヤフー、デジタルハリウッド、関西電力など、そうそうたる企業から60人が集った格好だ。ほかにもスタートアップ企業などから、デザイナーや学生、大学講師など多様な背景を持つ参加者が集まった。24グループに分かれて行ったアイデアソンで、独自の視点からの意見を出し、議論を戦わせた。

バックキャスティング賞に輝いた「ぼっち飯保険」

アクサ生命とロフトワークスの「未来をデザインする Insurance & Technology」ではもちろん、優れたアイデアを表彰。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授、アクサ生命保険の執行役員メディカル&プロテクション事業本部長である松下健一郎氏、Health Tech Newsを設立した吉澤美弥子氏らが審査員となり、斬新なアイデアを取り上げた。

中でも、バックキャスティング賞を受賞したのは「ぼっち飯保険」だ。プレゼンによれば同保険には、毎月少額の保険料を支払うことで、全国にあるアクサ食堂で食事できるというもので、街のレストランでアクサ生命のセールスエージェントがその場をコーディネートしてくれるという。一人でご飯を食べるという寂しさに対して、人とごはんを食べる幸せや、健康的な食事の機会を提供しながら人同士のつながりを作り出すというものだ。

バックキャスティング賞を選定したアクサ生命の松下氏は「ぼっち飯保険」には可能性をすごく感じた。健康に関するデータはとりにくかったが、ぼっち飯保険に入っている人のデータを、少なくとも加入うしている人についてはとれる。保険というよりも食事のデータを生かすインフラとして使える可能性を評価した」と受賞の理由を解説した。

ほかにも、イノベーション賞には「健康BitCoin」が、システムデザイン賞は「夢を追う保険」が選ばれるなど、多様なバックグラウンドを持つ参加者ららしい、彩り豊かな保険のアイデアが生み出された。そのアイデアが、将来実際に販売される保険になる可能性もあり、次代に相応しい保険が実現するのか楽しみだ。(ZUU online 編集部)

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