総務省は16日に2013年の家計調査の結果を報告しました、2人以上世帯の平均貯蓄額(1739万円)、増加率(前年比4.9%増)は過去最高額を更新となり、安倍政権発足後に実施されたアベノミクスによる景気回復を裏付ける結果となりました。
この平均貯蓄額を聞いても実感が湧かない方が多いのではないでしょうか。それもそのはずで、この数字は一部の富裕層が極端に多い貯蓄を持つ為に引き上げられた数値であり、その人口分布は極端に偏っているのです。実際に貯蓄を持つ世帯の全体を二分する中央値は1023万円であり、日本人の半分の人は1000万以下の貯蓄しかないのです。
日銀が発表している資金循環統計を見てみるとこの偏った人口分布を裏付けている事が分かります。これは四半期に一度発表される指標で2013年10-12月期の数値を見てみると家計の保有資産残高は前年比6%増(2013/12時点)の1645兆円となっています。この内訳が重要で、 預貯金の増加分は2.3%で株式等の資産増加は38.5%と十倍以上の差が付いているのです。
この事から株式投資等に資金を回す余裕のある中間層以上が日銀による金融緩和、アベノミクスの恩恵を受けた事が分かり、特に2013年は日経平均株価で約1.5倍も上昇しており、株式で資産運用していた富裕層の貯蓄が指数的に増加したと考えられます。
アベノミクスは景気回復の為に実施されている政策ですが、目的はまだ達成されたとは言えず、日銀と連携してさらなる追加緩和の可能性があると市場では考えられています。2014年に入り日経平均株価は15000円を挟んでのレンジ相場となっていますが、追加緩和が実施されると円安の進行が考えられ輸出企業の利益が膨らむ事から株価も連動して上昇すると思われます。
この追加緩和次第で2013年の大相場で利益を得た富裕層は今年も大きな恩恵を受け、平均貯蓄額はさらに上昇する可能性があります。現在日銀短観でも緩やかな景気回復を観測しているという結果となっており、追加緩和が実施される為には少し材料不足というのがマーケットの見方です。消費税導入後の経済状況がどの様に変化するか見極め、追加緩和が実施されるとすれば今年後半だという声が多い様です。