海外での商品名には十分な注意が必要

上記の例を挙げるまでもなく、国内の商品名をそのまま海外に転用することには、リスクが伴う。かつて米国の自動車メーカーであるシボレーは、小型車の「NOVA」をスペイン語圏向けに販売しようとして失敗したことがある。「no va」という言葉が「it doesn’t work」、つまり「動かない」という意味だったからだ。

商品のイメージを高めるためのネーミングのはずが、逆に悪いイメージに繋がってしまったのでは、元も子もないだろう。海外では、その国のネイティブにしか分からない言い回しも少なくなく、いくら注意を払っても払い過ぎるということはない。

海外で通用するネーミングとは?

海外で通用するネーミングには、使用する言語によっていくつかのパターンがある。最も一般的なのは、富士重工業 <7270> が自動車の名称に「遺産」を意味する「LEGACY」を用いているように、英単語そのものを使うケースだ。また、ソニー <6758> の「WALKMAN」のように、商品イメージを英語ベースの造語によって、表現しているケースもある。

さらに花王 <4452> の洗顔料「ビオレ」の商品名は、英語以外の外国語を活かしたネーミングだ。ギリシャ語で「生活」を意味する「Bios」と、「満ち足りた」といった意味の「Ore」を合成しているのである。一方、スズキ <7269> がオートバイの名称に、「KATANA」を用いていたように、日本語の持つイメージを重視するのも効果的なケースもある。

「アンメルツ」の米国名はどうなるのか?

今回米国に進出する「アンメルツ」は、1966年の発売から今年で50周年を迎える、ヒット商品である。小林製薬は米国市場への足がかりとして、米パーフェクタ・プロダクツの買収を発表している。同社は「ジムズマックス」のブランドで、スプレータイプや貼付タイプの鎮痛剤を米国内で販売しており、小林製薬はアンメルツで培った液体型の鎮痛剤を、同社の販売網を使って売る方針だという。その際の商品名は、現地ですでに定着しているジムズマックスにする可能性もある。

「アンメルツ」の海外展開は、日本での販売開始から間もない1969年の香港、台湾にさかのぼる。2016年現在、「アンメルツ」ブランドは東南アジアを中心に、日本を含め8の国と地域に展開しており、すでに同製品の販売本数の半分は、海外向けになっている。

承認の厳しさもあって、「アンメルツ」を米国市場に投入することを控えていた小林製薬。満を持しての米国進出成功、その可否を大きく左右するネーミングだけに、今後の展開が注目されるところだ。(ZUU online編集部)

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