米国人の「老後の目標貯蓄額」が9万5776ドル(約976万円)であるのに対し、実際の貯蓄額の中央値は理想と大きくかけ離れた5000ドル(約51万円)であることが、最新のサーベイから判明した。

老後の貯蓄がゼロという家庭も多いなか、「何らかの貯蓄がある」と回答した家庭の中央値は6万ドル(約600万円)と、ここでも所得格差が色濃く反映している。

どうやら米国における確定拠出型年金制度「401k」は、大成功とは程遠い現状のようだ。

高齢層の貯蓄額は減少傾向 金融危機以降半分以下に

32歳から61歳の世帯主を対象にエコノミック・ポリシー・インスティテュート(EPI)が実施した調査では、より現実に近い貯蓄額を算出するため、平均とともに中央値を採用している。

例えば富裕層によって数字が引きあげられ、32歳から37歳の平均貯蓄額は3万1644ドル(約322万円)となっているが、中央値を見てみるとわずか500ドル(約5万円)にも満たない。

また56歳から61歳の平均値は16万3557ドル(約1666万円)だが、中央値は1万7000ドル(約173万円)だ。

この調査は1989年から2013年の貯蓄の動きを追ったもので、2008年の金融危機以降の数年は全体的に貯蓄額が落ちこんだものの、富裕層と低所得層の差はまったく縮まっていない。

年齢層では32歳から43歳までの層が貯蓄を膨らませているのに対し、それ以上の層は金融危機以降、急速に貯蓄額が減少傾向にある。

特に56歳から61歳の中央値は2007年のピーク時の3万5929ドル(約366万円)から、2010年には1万181ドル(約101万円)まで一気に低下。3年後には1万7000ドル(約173万円)まで回復しているが、金融危機以前の半分以下ということになる。

こうした数字から、多くの米国人の老後の貯蓄が高齢化や社会背景の変化に追いつけず、鈍化状態であることがわかる。

EPIは国民の関心が従来の年金制度から資産運用や個人貯蓄に移行したことが、老後の蓄えの格差を広げた要因のひとつであると見ている。

調査基準となった貯蓄には401kのほか、IRA(個人退職勘定)、Keogh plans(個人事業者用の年金制度)が含まれている。(ZUU online 編集部)

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