米国の大統領選挙では、民主党がヒラリー・クリントン氏、共和党はドナルド・トランプ氏をそれぞれ候補として選出した。

両氏のことは日本のメディアでも頻繁に報道されるが、民主党、共和党それぞれの副大統領候補をご存じだろうか。

民主党・共和党の副大統領候補とは

そもそも副大統領とは、大統領が病死などのもしものことがあった場合には、選挙などはせず、すぐさま副大統領が大統領に昇格し、任期満了まで職務を務めることとなっている。
もしもの時には大統領になる可能性もあるのが副大統領であり、米国の国政にとって大変重要な役職なのである。

今回民主党・共和党の二大政党から副大統領候補に決定した2人を紹介する。民主党は副大統領候補にティム・ケーン氏、共和党はマイク・ペンス氏をそれぞれ選んでいる。

民主党 バージニア州知事経験者のティム・ケーン上院議員

ケーン氏はバージニア州選出の上院議員だ。ミズーリ州カンザスシティーで生まれたケーン氏はミズーリ大学に進学し経済学を学んだ。

大学卒業後の進路はカンザスシティーの非営利団体に就職。ハーバード大学のロースクールにも入学している。この間にキリスト教のボランティア団体のスタッフとしてホンジュラスに滞在し、スペイン語を習得した。

ハーバード大学のロースクール修了後は、法律家として住宅問題や障害者差別の問題などに取り組むと共に、リッチモンド大学のロースクールで非常勤教授として教鞭をとった。

1994年にはリッチモンド市の市議会議員に初当選。98年にはリッチモンド市長となる。2001年にバージニア州の副州知事になり、06年にはバージニア州の知事に就任。知事時代は主に交通問題やエネルギー問題、環境問題などに熱心に取り組んだ。その後2009年には民主党の全国委員会の委員長を務め、13年には上院議員初当選を果たした。

手堅い実務家と評されるケーン氏は、スペイン語が堪能である。近年米国で増えている中南米の移民の多くがスペイン語を話す。クリントン氏も中南米の移民からの支持を得たいとの思惑もあり、スペイン語の堪能なケーン氏を副大統領候補に指名したのではないかとも言われている。

大統領選で勝利するには、接戦が予想されるバージニア州で勝つことが大切であるとの理由から同州の州知事経験者であるケーン氏が選ばれたとも言われている。

ケーン氏の政策ではTPPを積極的に推進している。しかしクリントン氏側はTPPに対し慎重派として知られており、意見の相違も少なからずある。手堅い実務家と評されケーン氏であるが、知名度が不足しているとの指摘もある。

共和党 マイク・ペンス インディアナ州知事

共和党副大統領候補のマイク・ペンス氏は、インディアナ州の州知事だ。同州で生まれたペンス氏は、インディアナ大法科大学院で法学を学ぶ。その後保守系シンクタンク所長やラジオ番組司会者を経て2000年に共和党から下院議員に初当選した。在任期間中には予算委員長も2年兼任。その後2013年からインディアナ州の州知事を務めている。

議員や州知事としての実績を重ねてきたペンス氏は保守派の論客としても有名であり、共和党内でも人気がある。

一方のトランプ氏は過激な発言や、共和党内部に対しての批判等を行ってきたことから、共和党内からも一部反感を買っている。

そのため、ドナルド・トランプ氏も共和党内の保守層の支持を集めるために、共和党内で人気の高いペンス氏を候補にしたとの見方もある。

保守派のペンス氏は2015年に「宗教自由回復法」という法律に署名し、その後撤回している。この宗教自由回復法とは、自らの宗教的信条を理由に様々な事を拒否する自由があるというものである。その為「LGBT排除につながるのでは」との疑問から途中で署名を撤回する騒ぎとなった。保守派として有名なペンス氏は人工中絶や同性婚にも反対しており、トランプ氏と同様に移民政策にも強硬な姿勢である。

共和党内で保守派として人気のペンス氏であるが、トランプ氏の弱点と言われている女性やヒスパニック系(中南米系)、黒人などの票を集めるには、いささか不安な人選かもしれない。またケーン氏と同じく、知名度も不足しているとの指摘もある。

今回の大統領選では、候補者が正反対の考え方をしている面もあり、大統領選本番の11月次第では、今後の米国の政策が大きく転換する可能性もある。もちろん日本にも大きな影響があると思われる。大統領のみならず、副大統領に関してもこれを機会に注視が必要だ。(ZUU online 編集部)

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