国際決済銀行(BIS)は9月18日、GDP(国内総生産)の2.5倍に膨れあがった中国の債務総額が、「今後3年間で深刻な問題を引き起こす兆候である」との警告を発した。

7月にもIMFが同様の警鐘を鳴らし、中国政府に企業債務に対処するよう要請しているものの、中国経済の崩壊への懸念はますます高まるばかりだ。

米サブプライム危機の3倍のリスク

中国社会科学院は歯止めがきかなくなった中国の負債総額が、2015年末にGDPの249%に値する25兆6000億ドル(約2602兆2400億円)に達したと発表。

BISの統計からも、発行債券額が2015年第4四半期から2016年第1四半期のわずか半年間で7兆8929億ドル(約802兆3132億円)と、1475億ドル(約14兆9933億円)増えていることが判明している。

またゴールドマン・サックスを含む欧米の金融機関も、シャドーバンキング(正規の融資システムを通さない影の融資)の実態などを根拠に、実際の数字がさらに巨大化している可能性を指摘している。

中国人民銀行による景気刺激策が、結果的には企業負債と個人負債を押しあげるきっかけとなったという見方が強いが、その根本には他国の経済危機の影響を最小限にとどめる意図で、中国政府が与信を拡大しすぎた背景があるようだ。

総与信とGDPの差を算出した場合、一般的な経済危機レベルが10%であるのに対し、中国が30.1%に達している点にBISは強い懸念を示している。

米国では総与信対GDP比率の差が10%を突破した後、サブプライム住宅ローン危機が訪れた。

しかし中国自体は、周囲の懸念もまったく他人ごとといった様子という印象を受ける。

今年8月の銀行による融資は7月の2倍。その多くが住宅ローンの借り入れだったという。中国の銀行は2008年の金融危機以来最高の気前のよさで住宅ローンの申請に応じており、不良債権問題の影は微塵も感じられない。

またUBSも今年上旬、中国経済の行く末に関して、国内貯蓄率の高さや資本市場の成長の可能性を理由に、比較的楽観的な見解を示すレポートを発表している。

ただし中国はあくまで「短期負債で長期負債資金を回転させている」との指摘もあり、経済市場自体が景気刺激策に依存しきっているリスクは打ち消せない。

銀行による不良債権比率が政府の発表している2%をはるかに上回っていた場合、中国には銀行システムの資本再編が必須と予想されているが、中国政府がどこまで現実を受けいれすみやかに対処するかにすべてがかかっているだろう。

「借金で国を豊かにする」という発想はけっして中国にかぎったことではない。経済成長が鈍化し、借金とともに国民の資産が増えるという悪循環は、多くの先進国が経験している。(ZUU online 編集部)