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(写真=PIXTA)

NHKの籾井勝人会長(73)が来年2017年1月24日に1期3年の任期満了を迎える。就任してから数々の問題発言を繰り返してきた籾井会長だが、続投になるのだろうか。そんな中、籾井会長は来春の受信料値下げ検討を指示した。

NHKの会長はCEOではなくCOO

NHKは日本放送協会定款に基づき経営委員会と監査委員会というものがあり、重要な事項を決議する最高機関として最上位に位置する。会長職はその次だ。NHKの場合は経営委員会委員長が最高経営責任者、会長は最高執行責任者とされているのである。

だが経営委員会委員長は非常勤であることから、会長1人・副会長1人・専務理事および理事7人以上10人以内で理事会を構成する。理事会の下に内部監査室・考査室が置かれる。その他にも経営企画局・関連事業局といった多くの局が配置されている。

監査委員は経営委員会の委員の中から経営委員会が任命し3人以上(内1人は常勤の経営委員)で組織するとし、職務としては役員の職務の執行の監査である事になる。報告請求や調査といった仕事をしながら職務を遂行する。

理事会の構成メンバーは協会役員の中から選ばれる事になっている。会長、副会長、専務理事・理事により構成される。仕事としては、協会の重要業務の執行について審議することが求められるほか、国会答弁やマスコミ対応が求められる事もある。専業が義務とされ、任期は3年なのだ。

NHK会長はどうやって決まるのか

会長人事はルール通り今の籾井会長の業績を評価しながらも、次期候補者とするかどうかを委員の意見を集約することになる。12人の委員がそれぞれ候補者を考え、どこかの段階で議論の俎上に乗せることになるのだが、国民としても会長職にふさわしい人を期待したいものだ。

NHK会長は現職の続投を軸に検討されるが、経営委は13年11月26日に会長資格要件として6つの条件を上げている。それは「公共放送の使命を十分に理解している」「人格識見が高く国民から信頼される」「政治的に中立である」「構想力とリーダーシップが豊かである」「社会的環境の変化に対応できる」「業務遂行力があり説明力がある」--である。

こうして選ばれたのが今の会長である籾井氏だが、彼は九州大学経済学部卒、1965年4月三井物産入社、その後、日本ユニシスを経て2014年1月、NHK会長になっている。

ここ何代かの歴代会長を振り返る

今の籾井会長の前の松本正之氏は三重県出身で名古屋大学法学部卒、JR東海社長、副会長を歴任している。その前は福地茂雄氏。彼は福岡県出身で、長崎大学経済学部卒、アサヒビール社長から会長、相談役を経験している。この人事は20年ぶりとなる外部招聘となって当時話題にもなった。

実は籾井氏の前3人はみな1期で辞めている。松本氏、福地氏は外部からの招聘だが、その前、つまり籾井氏の3代前はNHK職員から会長となった橋本元一氏。彼は職員によるインサイダー株取引の責任をとって1期で辞めたとされる。

そしてその前が有名な海老沢勝二氏だ。彼もNHK職員でNHKエンタープライズの社長も務めた。紅白歌合戦の制作費不正支出をはじめとした一連の不祥事の責任をとって3期目の途中で辞任したが、その後も大相撲横綱審議委員長などは続けている。

会長の給料はいくら?

NHK会長の報酬は基本的に受信料から払われ、3000万円程と言われている。同じ公共放送でも英国BBCの社長の報酬は1億円ほどと言われており、世界的に見れば安いと思われるかもしれない。

とはいえBBCは世界中に視聴者がおり、報道だけでなくドラマ制作などでも評価されている。ことNHKは海外展開がうまくいっている訳でもなく、BBCと比べるのはそもそも不遜と言えよう。

来春の値下げを指示

数々の暴言で何かと物議を醸した籾井会長は、局内で次々と粛清人事を行っていると報じられている。それと安倍政権寄りの姿勢を明確にし「政府が右と言っているものを我々が左と言うわけにはいかない」という有名な言葉まで残している。

その間には専務理事2人が退任しているが(塚田祐之、吉国浩二両氏)いずれも籾井会長に辞任を迫られる格好で、任期切れを理由にNHKを去ることになった話は国民の多くが知るところでもある。

その籾井会長は9月20日の会議で、来春からの受信料値下げの検討を理事らに指示したという。NHKは受信契約が伸びており、14、15年度は2年連続で受信料収入が過去最高になっている。NHKが前回値下げしたのは、松本会長時代の12年10月だった。

今回の値下げ提案は視聴者からは評価されているが、前回の値下げでも大きく減収し、13年4月から職員の基本給や賞与を5年間で10%削減する新たな給与制度が導入されたという。

報道によれば、3%(月額約40円)程度の値下げが可能とする意見がある一方、時間的な問題やもあって反対意見も出ているという。はたして来年の任期満了を経て2期目に入ることができるのか。スマホ視聴での受信料問題とあわせて引き続き注視される。(ZUU online 編集部)

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