肥満,ソーダ税,WHO,砂糖税
(写真=PIXTA)

WHO(世界保健機関)が「糖分の多い飲料に課税を」と呼びかけている。10月11日、加盟国・地域に呼びかけた内容は簡単明瞭だ。商品価格を引き上げれば消費量が抑えられる。そのことで、肥満や糖尿病・虫歯の患者を減らす効果があるという趣旨のお話だ。

糖分を多く含む飲料とは

WHOの研究グループの報告書によると、糖分の摂り過ぎで大きいのは飲料が多いとし、平均すると1缶当たりティースプーン約10杯分の砂糖が含まれていると警鐘を鳴らしているのだ。身近にどんな飲み物があるか見てみよう。

WHOの指針では、1日に摂取する糖分によるカロリーを10%未満に抑えるようと推奨しているのだ。ほとんどが砂糖を加えたり濃縮果汁を含んだりする商品だが、スポーツドリンク、炭酸飲料、加糖アイスティー、果汁入り飲料、エナジードリンクなどだ。

1日に摂取するカロリーの内で糖分ら取るカロリーを5%未満に減らす。これができれば健康増進効果があるという。日本では、糖尿病の大部分を占めるのは2型糖尿病だが、糖分の多い飲料を1日1缶以上飲む人は、飲まない人に比べリスクが26%高くなると警告する。

ちなみに2型には、インスリンの分泌が少なくなる場合と、体がインスリンに反応しにくくなる場合がある。遺伝も関係しているが、食べ過ぎや運動不足、肥満などの生活習慣も影響するとみられる

「SIN TAX=罪の税」と呼ばれるモノ

砂糖の歴史を少し覗くと日本は1901(明治34)年に砂糖はぜい沢品とされ、砂糖に消費税が課されている。それが1989(平成元)年に消費税が導入され、砂糖に対する消費税は廃止している。

その後、2015年6月、厚生労働省は「保健医療2035提言書」の中で、砂糖・たばこ・アルコール・など健康リスクに対する課税を検討していくべきとした。糖分摂り過ぎに対する危機感は高まっていることは当時から言われたのである。

聞きなれない“罪の税”とは、政府の税による収益目的もあるが、それ以外にも消費者にタバコやアルコールの消費にブレーキをかける意図も含まれていて、いわば砂糖税はこの考え方を砂糖にも適応しようというアイデアなのである。

肥満・糖尿病・心臓病のリスクになると砂糖

2009年、ハーバード大学医学部小児科のデビッド・ルードウィグ教授らは、医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(The New England Journal of Medicine)』 の中で、糖入り飲料へ課税することで砂糖消費量が減り税の収益と健康促進に利用しうると報告している。

これまでの多くの研究で糖入り飲料は飲み過ぎに注意するよう指摘されていたが、米国では糖入り炭酸飲料を「ソーダ」と呼んでいる。これは砂糖税の主な目的先がソーダであることから砂糖税は「ソーダ税」ともいわれているためだ。

深刻な状態をメキシコから学べること

メキシコではこのソーダ税を、2014年1月からすでに導入している。メキシコのソーダ税は糖入りの飲み物1リットルに対し1ペソ(約7円)だ。しかし何故メキシコが先行したかと言えば、経済協力開発機構(OECD)によると背景には高い肥満率があるからだとしている。

何とメキシコの成人は70%以上が太りすぎで、32%が肥満なのだそうだ。さらに子どもの3人に1人が太り過ぎとのデータもあり、OECD諸国において最も深刻な状況だったのである。課税による値上げ率は10%程度だが、そもそも、なぜメキシコが、と誰でも疑問に思うだろう。

問題があるのは、供給される水が安全ではないと考えられているからだ。そのため多くの人が水の代わりにソーダなどの糖入り飲料を飲んでいる。その他、温暖な気候で1日の水分摂取量も多くなることも影響している。

2015年4月の報告では、平均的なメキシコ人は1人あたり年間176リットルのソーダを飲んでいるとされている。これを単純に計算すれば、1日平均500mlの摂取ということになる。

日本の肥満はどうか

厚生労働省の「平成25(2013)年国民健康・栄養調査結果の概要」では、40〜60代男性の約3人に1人はボディマス指数25以上の「肥満」となっている。男性の肥満者の割合は 28.6%であり、2003年からみると2010年までは増加傾向であり2011年からは変化が見られてはいないようだ。

女性の肥満者の割合は 20.3%であり10 年間で減少傾向にあるとしている。このように見ると、WHOではボディマス指数25以上は「過体重」で30以上が「肥満」としているが、日本の肥満問題は欧米に比較するとちょっとだけだが深刻ではないようだ。

しかし全国清涼飲料工業会のデータによると、生産量と同様1人あたりの消費量は2005年の約140リットルからから、2016年は160リットルを遥かに超えている(1人あたりの消費量=生産量÷人口)数字となっていることが分かる。

日本でもメキシコに劣らず、多くの清涼飲料水が消費されていることから対岸の火事とは言えないだろう。いずれにしろ肥満対策の根本はソーダ税や砂糖税を強いるよりも、私たち一人ひとりが健康に良い食生活を楽しむことにある。

そのように考えると、砂糖やソーダの摂取を悪玉の罪として税を課すよりは、バランスの良いヘルシーな食生活を楽しむ事のほうが肥満対策として有効的だと思うのだが、どうだろうか。(ZUU online 編集部)

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