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(写真=Thinkstock/Getty Images)

有人宇宙船・神州11号は無事に打ち上げられ、宇宙ステーション天宮2号とのドッキングにも成功した。マスコミの扱いは打ち上げ時はそれほどでもなく、1面掲載を見送った新聞もあるが、ドッキングはみな大きく報じている。

何しろ33日間にわたるプロジェクトである。それに10月24日からは6中全会も開催される。その報道にも左右されるため、ある程度記事の内容は伸縮自在にしておかなければならない。

現時点では、週刊誌的な内幕ものやエピソードが多く、あまり“中国的な紙面”ではない。その中から中心人物を紹介することで、このプロジェクトを分析してみよう。

飛行士たちは叩き上げ

まず2人の飛行士から。

景海鵬氏は1966年10月生まれの漢族、本籍・山西省遠山、党員、修士。入隊は85年6月、入党は87年。現在は中国人民解放軍航天員大隊特級航天員。空軍少将。空軍時代は、一級飛行員、空軍師団司令部領航主任。88年1月、第一期の航天員(宇宙飛行士)に選出される。

2005年6月神州6号の地上支援チーム、08年9月神州7号で、初の宇宙飛行任務。12年6月、神州9号では再び飛行、天宮1号とのドッキング任務を船長として成功させている。今回は4年ぶり3回目の宇宙飛行、2回目のドッキングとなり、中国で最も経験豊富な飛行士である。英雄の称号を持つ。一般の市民に至るまで広汎な知名度を持っている。

陳冬氏は1978年生まれの漢族、本籍・河南省鄭州、党員、大卒。97年8月入隊、入党は99年、現在は中国人民解放軍航天員大隊三級航天員、階級は上校(中佐または大佐に相当)空軍時代は師団飛行大隊飛行隊長、一級飛行員。2010年第二期航天員に選抜される。今年6月、神州11号乗組員に選ばれる。宇宙飛行は初めてだ。

2人ともは田舎の高卒で軍隊に入隊、優秀だったため、入党や大学進学を勧められ、それらをこなして来た。地方の軍隊では人数合わせ要員に過ぎず、不用となればすぐに放り出される階級の出身だ。叩き上げである。

プロジェクトリーダーは「神童」

次はプロジェクトリーダーである。

実質の権限は、酒泉衛星発射センター副総工程師・王福通氏に集中している。1963年、山東省巨野の生まれ。15歳のとき、飛び級で青島科技大学に入学した“神童”であった。

19歳にして同大を卒業、そのまま酒泉衛星発射センターに職を得ている。そして彼が関与しはじめてから同センターは急発展を遂げる。1989年〜94年にかけてのセンター大改造、1993年から98年の有人宇宙船発射台建設の指揮を採ったのも彼である。1999年からの神州有人宇宙船プロジェクトにもすべて関与、その貢献は突出、と評価されている。

2009年から現職にあり、2011年には空軍少将も授与された。19歳で大学を卒業した神童を引っ張ってきて、まだ20代の彼にすべてを任せたのだ。これこそプロジェクト成功の要因だろう。年功序列の日本で同じことができるだろうか。むしろアメリカ的なプロジェクトチームのように見える。

王氏は2010年、母校で講演を行った。「自分は目立たない学生にすぎなかった。自惚れはだめだが、仕事に対する熱意は何より大切だ。」と学生たちに語りかけている。

飛行士もプロジェクトリーダーも、時と場所を得て、それぞれの才能を発揮している。希少なケースではあるが、これまでの中国には見られなかったことが、現実に起きている。金がモノをいう腐敗した軍隊組織とは違う、侮れないチームができたようだ。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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