過去の株価推移を分析し、先行き予測を行うテクニカル分析の基本ツール、チャートにはさまざまな種類がある。同じチャートでも人により見方が異なるため、「チャートの読み方」を磨けば独自の勝てる投資手法を確立できるかもしれない。
株式投資におけるチャートとは?
まずテクニカル分析とは、マクロ経済情勢や個別銘柄の財務状況などを一切考慮せず、株価推移、出来高、時間軸などから個別銘柄の取得・処分を検討することである。過去の株価は人々の投資行動の結果であり、人間心理が凝縮されているため、それを分析すれば適切な投資を実行できるという考え方だ。
テクニカル分析は過去のデータをグラフ化(視覚化)したチャートを用いて行い、トレンド系とオシレーター系に大別できる。前者は相場の方向性を分析するものであり、ローソク足、移動平均曲線、パラボリック、酒田五法などが挙げられる。後者は比較的短期の相場のブレを計るもので、RSI、ストキャスティックス、MACDなどがある。
代表的な指標1:ローソク足
ローソク足は株式の始値(寄り付き)、終値(大引け)、高値、安値の4つの価格を陽線(白の縦長方形)または陰線(黒の縦長方形)と上下のひげ(縦線)で表すものだ。
株価が上昇した場合は陽線を用いる。上ひげの上端が高値、上ひげと陽線の接点が終値、下ひげと陽線の接点が始値、下ひげの下端が安値を示す。
逆に株価が下落したときは陰線を使う。上ひげの上端が高値、上ひげと陰線の接点が始値、下ひげと陰線の接点が終値、下ひげの下端が安値を示す。
慣れれば一目見たただけで株価の大局観を掴むことができる。陽線の割合が高ければ右肩上がりのトレンドラインになり、逆に陰線が多ければ右肩下がりの下降局面にあることが見てとれる。ローソク足が上下一定の幅の中で推移しているときは、売買が停滞しているボックス相場だと考えられる。さらにローソク足の長さが徐々に短くなるトレンドのときはボックス相場が先細りになった三角持ち合い状態であり、相場が大きく動く転換点に近づいている可能性を嗅ぎ取ることができる。
また1つのローソク足から分かることもある。陽線・陰線が長ければ上昇・下落傾向が鮮明であり短ければ売買が対立した状態だ。さらに短い陽線・陰線に長い上下のひげが着いていればザラ場(取引時間中)に荒れた相場が大引けで終息したことが分かる。
代表的な指標2:移動平均曲線
移動平均値とはある時点と前後数期の値を平均したものを当該期の数値とするものである。例えば5期の移動平均であれば、(NT-2+NT-1+NT0+NT+1+NT2)÷5という計算を順番に行っていく。
このため移動平均曲線は日々の株価の終値など1単位の計数をそのままプロットしたグラフよりも滑らかになる。異常値が目立たなくなるため全体的な傾向を把握しやすくなる。
株価分析では5日(1週間の営業日数)、25日(1か月の営業日数)、75日(3か月の営業日数)の移動平均曲線を作成することが多い。
代表的な指標3:RSI
RSI(Relative Strength Index)は以下の算式により相場動向をみるものだ。
RSI=一定期間の累積上昇額÷(一定期間の累積上昇額+同期間の累積下落額)×100
期間は9日間、14日間など分析者が任意に設定する。RSIが高ければ当該期間の取引は買いに偏在していて、低ければ売りに偏っていることになる。このため一般的に75%以上は買われ過ぎ、25%以下は売られ過ぎといわれる。ただし業績の好不調が明らかな場合などは一方的に売買が偏るため、必ずしも75%や25%近辺で株価の転換点が訪れる訳ではない。
どのように勉強すれば良いか
例えばローソク足には以下のようなパターンがある。
事例1.始値:100円 終値:110円 高値:125円 安値:100円
始値=安値、始値<終値なので下ひげのない陽線となる。上ひげが陽線より長いため(15円>10円)大引けにかけて利益確定目的などの売りが増えたことを読み取れる。
事例2.始値:100円 終値:125円 高値:125円 安値:100円
始値=安値、終値=高値なので上下のひげがない陽線になる。一本調子で株価が上昇しており強い買い意欲が窺われる。
事例3.始値:100円 終値:125円 高値:125円 安値:85円
終値=高値、始値<終値なので上ひげのない陽線で表す。一旦値を下げた後に買い圧力が高まったことが分かる。
事例4.始値:100円 終値:100円 高値:125円 安値:100円
始値=終値=安値なので上ひげだけで表示される(100円のところに横線を引き上ひげにする)。一時、高値をつけたものの最終的に元に戻ったことが示されている。 この場合、株価の転換期(下降局面入り)になる可能性があるといわれる。
事例5.始値:100円 終値:100円 高値:100円 安値:75円
始値=終値=高値なので下ひげのみとなる(100円のところに横線を引き下ひげにする)。事例4.と全く逆で一時的に安値をつけたものの、最終的に元の価格に引き上げられたことが分かる。この場合、株価の転換期(上昇局面入り)になる可能性があるといわれる。
こうしたパターン分析を繰り返せば自然とローソク足を見る目が肥えてくる。それとともに素早くポイントを掴むことができるようになるため、多くのチャートの中から自分の目に適った銘柄を見つけやすくなるはずだ。