住宅ローン,控除
(写真=PIXTA)

ローンにあまり良い印象を持っていない方は多いだろう。買い物にローンはできるだけ使いたくないと思う方も多いかもしれないが、2016年はマイナス金利が導入され、住宅ローンは超低金利と言われるほど金利が安くなっているので、住宅購入時期としては非常に良いタイミングである。

住宅の購入を検討している人が知っておきたいのが、住宅ローンによる税金の控除である。


住宅を購入したら確定申告が必要?

新築でも中古でも、住宅を購入したら確定申告をしなければならない。サラリーマンの場合だと、会社が本人の代わりに納税し、年末調整によって過不足を調整しているため、個人で確定申告をしたことがない方が多いだろう。

しかし、住宅を購入した翌年だけは、サラリーマンであっても住宅ローン控除を受けるために確定申告をするべきだ。一度確定申告をしてしまえば来年からは年末調整の対象となる。税務署から送られてくる「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」と、金融機関から送られてくる「残高証明書」を、年末調整の際に会社に提出するだけでよい。

金融機関からの残高証明書は毎年送られてくるが、税務署から送られてくる住宅借入金等控除証明書は、10年分まとめて送られてくる。しっかり管理し、失くさないように注意することが必要である。

確認申告に必要な書類とは?

ローンを利用して住宅を購入した場合における確認申告に必要な書類は、確定申告書(A)、住宅借入金等特別控除額の計算明細書、住民票の写し、残高証明書、登記事項証明書、請負(売買)契約書の写し、源泉徴収票、耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し、長期優良住宅または低炭素住宅の証明書の9つである。

確定申告書(A)と住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、税務署または国税庁のWebサイトから入手できる。なお、確定申告にはAとBがあり、サラリーマンはAを使用するので注意しよう。

住民票の写しは済んでいる市町村役場にて入手できる。残高証明書は住宅ローンを借り入れした金融機関から入手が可能だ。登記事項証明書は法務局にて手にれられるので、事前に準備しよう。請負(売買)契約書の写し、耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し、長期優良住宅または低炭素住宅の証明書の3枚は、契約した住宅会社等から入手が可能であり、こちらは本人で用意する必要がある。

源泉徴収票は勤務先から配布されるので、問題ないであろう。

確定申告の時期は毎年2月中旬から3月中旬の1ヶ月だが、還付申告は1月から行えるので忘れないようにしたい。手続きは自分の住んでいる地域の税務署で行うが、郵送やインターネット上でも手続きが可能である。申請書も含め、書類はインターネットで手にいれることができるので、こちらのサービスを活用すれば時間が節約できるだろう。

住宅ローン控除の期間について

住宅ローン控除は、そのときの経済情勢などによって見直される税制だが、現在の住宅ローン控除の適用期間は10年間と決まっている。2019年6月末までの入居に最大400万円の住宅ローン控除が適用になる。

2016年4月1日以降に入居し2017年に初めて確定申告した場合、消費税8%で購入していれば、年末に対象となる住宅ローンの残高は最高4000万円で、その1%が控除率となり年間40万円、10年で400万円控除となる。

控除には、住宅購入後6ヶ月以内に入居し、控除を受ける年末まで居住している必要がある、借り入れを行う人の合計所得が3000万円以下など、他にもさまざまな要件を満たす必要がある。この住宅ローン控除の制度は、2013年の税制改正で4年間延長されたが、消費税率の再引き上げが1年半先送りされたことにより、2015年度の税制改正で住宅ローン控除も1年半延長された。

上述したように、確定申告の時期は毎年2月中旬から3月中旬の1ヶ月であるが、還付申告は1月から行えることに注意する必要がある。確定申告はその年の3月が締め切りだが、控除を受ける資格があるのにこれまで申告していなかった場合には、5年前まで遡って所得税の還付を受けることが可能だ。もし「申告を忘れていた」という人がいれば、すぐ申請するようにしたい。

借り換えや繰り上げ返済のローン控除

新しい住宅に入居してすぐは、多方面から思わぬ出費が重なり生活にお金がかかるので、借り換えや繰り上げ返済は考えないかもしれない。だが2年ほど経つと金銭的にも余裕ができ、貯蓄を増やすのか、借り換えや繰り上げ返済をするのかを考えるタイミングが出てくる。

住宅ローンは借り入れをしたらそれで終わりということではなく、少しでも金利や返済条件の有利なものを探すことによって、総支払額がより少なくなるようにメンテナンスをする必要がある。その場合に注意すべきなのは、借り換え時のローン控除と繰り上げ返済時のローン控除である。なぜなら、住宅ローンの借り換えは基本的に控除の対象とならないからだ。

しかし、借り換えした住宅ローンが当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかである時と、借り換えした住宅ローンの返済期間が10年以上など、住宅ローン控除の対象となる要件に当てはまるのであれば、住宅ローン控除の適用を受けることができる。住宅ローン控除は10年以上のローンに適用されるため、繰り上げ返済によって返済期間が短くなった場合にその条件から外れてしまうことにもなりかねない。

返済プランを変更するときは、シミュレーションしてから手続きするようにしよう。

住宅ローン控除を受ける際の注意点

ローン控除を受けるにはいくつか注意点もある。上述したものもあるが、控除を受けるには「自分及び自分の家族が居住する住宅でなくてはならない」という要件があり、不動産投資目的で建築・購入したマンションなどには住宅ローン控除は適用されない。また、転勤などで居住者がこの住宅に住んでいない期間の控除も受けることができない。

夫婦で収入を合算することで借り入れ額の拡大をはかれば、融資条件を満たすことができる他、住宅ローン控除額を余らせないことにもなる。この場合、パートナーが「連帯債務者」となるか、「連帯保証人」となるかによって控除を受けられる額が違ってくるので注意が必要だ。連帯債務者は収入の合算者全員が控除を受けることができるが、連帯保証人は主たる債務者のみが控除の対象となる。

住宅ローン控除50万円シミュレーション

例を挙げてみよう。年収450万円のご主人がいたとする。連帯債務で年収200万円の奥さんも住宅ローンを借りるとしたとき、負担額の割合はご主人8割、奥さん2割としたとする。3,000万円の住宅ローンをご主人2,400万円、奥さん600万円に分割するという方法でシミュレーションしてみた。今回は住宅ローンの借入額3000万円、返済年数35年、返済方法は元利均等返済、ボーナス払いは無しという条件で、金利は1.36で計算している。

この場合、1年目の控除額は23万8309円である。23万8309円 から所得税12万円を引くと残りは11万8309円。住民税の最大値である13万6500円から、残った11万8309円分を全額控除出来ることになる。同様に、奥さんの控除分は1年目で5万9577円となる。ここから所得税の3万5000円を引いた2万4577円分を住民税の7万2000円から引くと、残りの2万4577円を全額免除することができる。合計で29万7886円満額免除することができた。

同じ条件でご主人1人だと受けられる住宅ローン控除額が、1年目で25万6500円なのに対し、夫婦二人で住宅ローン控除を受けた場合は29万7886円満額を受けることになる。約4万円も多く住宅ローン控除を受けることが可能となるのだ。この方法を使えば普段の控除額は最大40万円だが、夫婦で合計すると50万円の控除を受けられる可能性もでてくる。銀行としっかり相談したいところだ。

とてもありがたい住宅ローン減税制度だが、これには適用条件があり、誰もがその恩恵を受けられるわけではない。適用条件は表向きは簡単だが、実は仕組みは複雑で、当初は住宅ローン控除が受けられていても、繰り上げ返済の実施や転勤によって途中で控除がストップするケースもある。10年間住宅ローン控除を最大限に享受するには適用条件を正確に理解しておく必要がある。

【あわせて読みたい 「確定申告」記事】
年金受給者は確定申告が不要!所得税の控除はどうなるか
払い過ぎた税金が戻る?年末調整と確定申告の仕組み
税務署へ出す確定申告の書類は何がある?提出方法から注意点まで
確定申告とは?必要書類は年末までに準備を整えよう
ふるさと納税の落とし穴 確定申告で「ワンストップ特例」が無効に