住宅ローン,固定金利,変動金利
(写真=PIXTA)

第4回まで住宅ローンの選び方、どこの金融機関から借りるべきか、どのような返済プランを立てるべきなのかということについて解説してきた。しかし商品選びと同じくらいに重要なのが、金利タイプの選び方だ。

金利タイプを固定か変動のどちらを選択するのかによって、将来的な利息負担の差が数百万円の違いになることも珍しくない。金利は固定と変動をどのような視点から選択すべきなのか解説していく。

目次

  1. 住宅ローンの金利タイプとタイプ別特徴
    1. 全期間固定型の金利タイプ
    2. 変動型の金利タイプ
    3. 固定期間選択型の金利タイプ
  2. 金利タイプ別選択割合の動向
  3. 金利上昇リスク「固定は貸し手、変動は借り手」
  4. 住宅ローン減税分を固定と変動の金利差に充てる

住宅ローンの金利タイプとタイプ別特徴

住宅ローンを選ぶ際、頭を悩ませるのが金利タイプだろう。どの金利タイプを選ぶかによって、その後のマネープランにも大きく影響がでる。

そもそも住宅ローンの金利には大きく3つのタイプがある。「全期間固定型」と「変動型」、そして「固定期間選択型」だ。

全期間固定型の金利タイプ

まず「全期間固定型」は、当初設定された金利がローンを完済するまで固定され、市中金利の動向には全く影響を全く受けない。完済までの返済額が固定され、総返済額もわかるため、将来のライフプラン設計もしやすいのがメリットだ。借入実行時の金利は一番高いが、金利上昇場面で選択すると上昇前の低い金利のまま借りられ大変有利となる。

変動型の金利タイプ

一方「変動型」は、市中金利によって半年ごとに設定しなおすもので、それに伴って返済額においての元本と利息の割合が変更される。月々や賞与時の返済額は5年間変わらないので、急激な金利の上昇があれば、返済額のほとんどが利息部分となる可能性もあるため注意が必要だ。借入実行時の金利が一番低いのがこのタイプだ。

固定期間選択型の金利タイプ

「固定期間選択型」は、全期間固定と変動2つの中間といえる。当初に固定金利期間を定め、固定金利期間が到来する度に、固定期間選択型にするか、変動型にするかを借り手が決めるものである。金利水準は全期間固定型と変動型の中間となる。固定期間は3年、5年、10年、20年などがあり、固定期間が長くなるほど金利は高くなる。名称に「固定」と付いているので勘違いしやすいが、金利上昇リスクは避けられない。

金利タイプ別選択割合の動向

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が実施している、「民間住宅ローン利用実態調査2017年(平成29年)第2回」によると、

全期間固定型  13.3%
変動型     56.5%
固定期間選択型 30.1%

その5年前、2012年第2回の割合も見てみよう。
全期間固定型  21.9%
変動型     56.5%
固定期間選択型 24.4%

意外かもしれないが、この5年間では、全期間固定型を選択する人が減少し、固定期間選択型を選択する人が多くなっている。
固定期間選択型で短期的に金利を固定し、数年後に様子を見たいという現れだろう。 固定期間選択型は、全期間固定型よりも金利が低いため、残高が多い間は低い金利で住宅ローン残高を減少させ、優遇が終わった後には借り換えも含めて金利タイプを再検討する動きのようだ。

興味深かったのは、12年前、2006年(平成18年)同機関が行った、過去5年以内に民間ローンを組んだ人へのアンケート結果だ。70%以上が全期間固定型を選択し、変動型は7%に過ぎない。当時、今後金利は上昇すると多くの人が判断した結果だと考えられるが、その後の金利の動向については読者も知るところであろう。

金利上昇リスク「固定は貸し手、変動は借り手」