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(写真=Thinkstock/Getty Images)

生命保険や医療保険、火災保険など、保険には実に様々な種類がある。そして種類は違えど、一般に保険は「万が一のリスクに備えるもの」として理解されているだろうし、本質論としてはそうした認識で間違いない。

一方で、多少なりとも金銭事情に敏い方であれば、「保険は節税にもなる」という話を聞いたことがあるだろう。今回は、個人はもとより企業にとっても、保険が節税の手段になりうる理由と、その具体的な活用方法等について解説する。


企業が節税できる保険の種類とは

まず、個人にとって保険がなぜ節税になるかは、割と理解されやすいだろう。というのも、ビジネスパーソンであれば年末調整で「生命保険料控除」や「地震保険料控除」等の申請をする方がほとんどと思われるからだ。これらの控除は、それぞれ単年内(1月~12月)に支払った生命保険の保険料あるいは地震保険の保険料を、所得から差し引くという制度だ。

所得税等の税金は所得の金額に比例して大きくなるので、所得から一定額が控除されるということは、すなわち税金が少なくなるということだ。この控除制度は、広く知られているだろう。

一方、企業にとっての保険による節税効果とはどういったものなのか。これは特に経営者や企業の経理担当の方でなければ十分に理解している方は少ないだろう。

経営者保険と福利厚生保険

企業が節税のために利用できる保険としては、主に「経営者保険」と「福利厚生保険」がある。

経営者保険とは、文字通り企業の経営者を被保険者として加入する生命保険だ。特に中小企業においては、経営者の命は企業の命とイコールともいえる。

規模が小さいほど、経営者の存在感は大きくなる。それらの企業においては、仮に経営者に万が一のことがあった場合、相応の資金の準備がなければ経営の立て直しまで企業の体力がもたないことが多い。経営者保険は、そのような事態に備えて用意しておく保険と理解してもらえればよいだろう。

一方、福利厚生保険とは、従業員へ退職金などの福利厚生を用意するために企業が加入する保険だ。養老保険などの貯蓄性のある保険を利用することで、退職金の準備と、社員に万が一のことがあった場合に遺族へ払う弔慰金の備えなどを同時に行うことができる。

では一体なぜ、経営者保険や福利厚生保険が節税になるのか。それは、企業がこうした保険に加入するために払う保険料の一部または全部が「損金」として算入されるからだ。

企業は個人同様、毎年度に得た収益に対して税金、すなわち法人税が課せられる。損金とは、所得から控除できる性質のお金である。つまり上記の保険料が損金算入されるということは、法人税の母数である所得を小さくする = 法人税を抑える効果があることにほかならないのだ。

節税のために考えたい、保険の活用方法

では実際に、保険を活用した節税にはどういった方法があるだろうか。個人の場合においては、先に紹介した通り「保険料控除」を利用するのがよいだろう。

まず生命保険、介護(医療)保険および個人年金保険については、すべてを合算して12万円の保険料控除が利用できる(ただし、所得税の計算にかかる所得から差し引ける額として。住民税については7万円)。また、地震保険料についても、所得から最大5万円控除が可能だ(住民税の場合は2万5000円)。

特に前者の場合、貯蓄性のある保険を利用することで、「貯蓄もしつつ、節税もできる」こととなるので、一挙両得の方法となりうる。控除枠は、出来るだけ大きく使おう。

企業の場合についても、「経営者保険」や「福利厚生保険」を効果的に利用することで、従業員の満足度の向上や経営上のリスクを回避するとともに、節税を行うことができる。ただし、企業保険は個人よりもはるかに複雑な制度となるので、税理士などの専門家に相談するのが望ましいだろう。

保険を利用した節税における注意点

保険を利用した節税にあって、注意したい点もある。個人については、控除枠を目一杯使おうとするあまり、過剰な額の保険に入ってしまうことである。特に、掛け捨て型の保険は貯蓄効果がないので、必要以上の保険に加入することは「節税効果が損なわれ、貯蓄性もない」という残念な結果を招く。適切な保険金の設定と共に、貯蓄性のある保険を効果的に組み合わせて加入しよう。

一方、企業における保険の利用上の注意は、保険種類の選択を誤らないことだ。例えば貯蓄性があっても、終身保険型の経営者保険は保険料を損金に算入することができない。加入した後に気づいても後の祭りであるから、よくよく注意しよう。

損金に算入される額も、2分の1から全額までと、保険の種類によって異なる。また、制度の絡み合い等から、単純に全額損金算入される保険が常に望ましいわけではない。節税目的であれば、どのような加入方法が節税を最大化できるのか、専門家によくよく相談するのが無難だ。

効果的に使いたい保険、迷ったときは専門家に相談を

個人にあっても企業にあっても、保険は節税効果を得るために有効な手段のひとつだ。しかし、一般論として保険商品は仕組みが難解なことが多い。また、一度加入すると中々見直しが効かないことが多いのも保険の(悪しき)特徴である。

保険による節税効果を狙うのであれば、自身や自社をとりまく状況等を入念に分析したうえで、適切な保険に加入するよう注意しよう。少しでも不明な点があれば、FP(ファイナンシャル・プランナー)や税理士等のプロに相談するのが望ましい。