先物取引,株,投資,とは
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ニュースなどで、「先物」「ナイトセッション」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。大阪証券取引所は、先物、オプションといったデリバティブを夜間に取引する取引所として有名だ。デリバティブは金融派生商品と呼ばれる。原資産を投資対象とするものだが、種類はさまざまだ。中には天候デリバティブという、気象現象を投資対象とするものまで存在するのは面白い。

さて、今回はデリバティブの中でも先物取引というものを取り上げ、解説していく。先物取引は、オプション取引とも混同されがちだ。また、現物取引と呼ばれる株式投資などに比べるとややわかりにくい面があることも事実だ。しかし、一度理解してしまえば、あなたの投資の一つの選択肢ともなりうるだろう。


先物取引とは何か

先物取引(さきものとりひき)という言葉は、誰しも聞いたことがあるだろう。しかし、意外とその内容について理解していない方が多い。

先物取引とは、「あらかじめ定められた期日に」「特定の原資産を」「現時点で取り決めた価格」で売買する取引である。よく混同されるものにオプション取引がある。とてもよく似ているが、厳密には異なるものである。先物取引が、原資産の売買であるのに対し、オプション取引は、先の3つのポイントは同様だが「権利」を売買する取引となる。

オプション取引では、その権利を期日前に売買することも可能だが、先物取引は購入(もしくは売却)時点での価格で、期日に売買することが前提となっている。例えば、1か月後に発売される新商品を、今の価格で購入することを約束するというイメージである。もし、実際に販売された値段が高ければ、その差が利益になる。しかし、実際の価格が下回っていた場合には、その差が損失になるのだ。

普通の取引と何が違うのか

通常の取引と比較してみよう。例えば、株式。株式投資の場合、その時の株価で株を購入する現物取引と呼ばれる。つまり、買い物と同じくその時の価格で購入し、その時点で自分のものとなる。

一方、先物取引は株の信用取引やFXなどと同じく証拠金取引である。証拠金取引とは、口座に一定額の金額を入金しそれを担保に取引を行うものを指す。その対象となる原資産は、金融先物と呼ばれる日経平均株価、TOPIXなどの指数、債権、商品先物と呼ばれる大豆などの農作物、原油や石炭といった資源までもが対象となっている。

日経平均株価を対象にしたものは、日経225先物と呼ばれている。この場合、日経平均という指数が将来のある時点で上昇しているのか、下落しているのかということを、様々な情報を基に予測することになる。

こうした私たちに身近なものが投資対象となっているのは、先物取引の特徴でもあり、面白さでもある。

また、先ほどの日経225先物の場合と個別銘柄を買った場合とを比較してみよう。例えば、株を購入した企業が倒産してしまった場合、保有していた株式は紙くずになってしまう。日経先物を投資対象としていた場合、その企業の倒産によって変動はあるにせよ、その取引は生きていることになる。つまり、そういう意味でのリスクは回避できることになる。

先物取引のメリット

日本の株式市場の場合、取引時間はお昼を除く9時から15時までが取引時間である。日中仕事をしていれば、その時間の取引というのはなかなか難しいものである。先物取引は、その時間外での取引が可能である点もメリットとして挙げられる。

株式投資(信用取引を除く)の場合、株を購入することが基本である。その株価が上がれば売却し、その差が利益となる。つまり、安く買って高く売るというのが大原則である。先物取引の場合、「買い」の取引に加え将来の価格が下がると予想する場合には「売り」の注文から取引が可能だ。

値上がりだけでなく値下がりの場合にも利益を生み出すことができる。「売り」から入る、という部分に違和感を感じる方もいるかもしれないが、証拠金取引では「将来売る」という意味になる。つまり、先物で100円のものを80円で売れば、20円が利益となるということになる。つまり、現在の価格より値上がるか、値下がるかを取引するものと言える。

また、先ほど説明したように先物取引は証拠金取引である。レバレッジ(てこ)という仕組みにより、少額の資金で実際の金額よりも大きな金額を動かすことができるのだ。これも先物取引の人気の理由である。

先物取引のデメリット

先物取引の最大のデメリットは、そのレバレッジにあると言える。少額で大きな金額を動かすことができるため、利益も大きくなる。しかしそれは同時に、マイナスの場合には大きな金額を失う可能性もあるのだ。元本は保証されていないため、必ず余裕資金で行うことが前提になる。予想に反して上昇(下落)した場合には、追加の証拠金を入金することが必要となることもある。

現物取引の場合、長期間の保有が可能である。株式であれば、それにより株主優待や配当金を受けることもできる。しかし先物取引の場合、差金決済方式を取っているため期日に清算することが前提となっている。

また、取引には手数料がかかる。長期保有が前提ではない分取引回数は多くなる。その取引回数分の手数料がかかるので、それを考慮した戦略も必要となるだろう。

先物取引って儲かるの?

先物取引というものは理解できたけど、儲かるの?と疑問を持つ方もいるだろう。結論から言えば、「知識」「経験」「資産」が増えれば増えるほど、儲かる可能性は高まる。

「知識」は、日々のニュースなどからの情報収集に加え、チャートの見方、変動要因を理解することである。これがなければ、一時的に利益を上げることができても継続的に勝ち続けることは難しいだろう。

「経験」は、リスクヘッジ、相場のくせなど実際に取引を行っていく中で見えてくる部分である。これらもほぼ比例して勝率に結びつくものである。

「資産」は当然、多ければ多いほど利益は大きくなる。証拠金取引ではあるが、証拠金は多ければ多いほど大きな金額を動かすことができる。もちろん、その分マイナスとなるリスクも増えることにはなるが、取引回数を減らし手数料を減らすことができるだろう。

これらは、どれも必須な要件である。最後の資産に関しては、少額での取引が可能という点では優先度は低いが、「知識」「経験」は比例して取引に影響を与えるものとなる。

「経験」は実際に取引を行うことで身につくものなので、これから先物取引を考えている方は、まず「知識」をしっかりと身につける。そして、自身でチャートを見ながらデモトレードを行ってみる。それにより、現実的な「経験」を本番前に蓄積しておく。それらが万全となれば、余裕資金が増やしていくという道のりになる。

先を読む力を身につけよう

先物取引は、一見難しそうに見えるが私たちの身近なものを投資対象とした親しみを持ちやすいものとも言える。少額からの取引が可能である点は、大変魅力的であろう。しかし、もちろん先物取引には多くのリスクがあることを忘れてはならない。その名の通り、「先の物」を取り扱うという点で、より先を見通す力が必要な取引である。

知識や経験があれば、勝率を高めることができる。ただし、どんなに知識、経験が豊富でも、予期せぬ変動が起こることは投資の世界では常識である。そうした部分を理解しながら、選択肢の一つとして、先物取引を考えてみてはどうだろうか。