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(写真=PIXTA)

定期的にめぐって来る車検(自動車検査登録制度)は、基本的に安全面や公害対策面などの保安基準に適合しているかを検査するものだ。「日本は海外に比べて車検が厳しく費用も高いのでは」とも言われているが、本当だろうか。

車検費用と法定費用

自家用乗用車の新車購入であれば36カ月目に受けるが、それ以外(中古)は24カ月ごととなる。車検が受けられるのは車検満了日の1カ月前から可能で、1カ月前に車検を受けても次回の車検までの期間が1カ月短くなることはない。なお軽貨物車の場合は購入後2年目の車検となりそれ以降は2年ごとに車検を受けることになる。

さて「海外と比べて高い」というのは本当だろうか? 実は日本の車検検査手数料は3000円未満程度に過ぎない。イギリスやフランスでも1万円以下だし韓国やオーストラリアでも3000円程度とされている。

日本の車検が高いといわれるのは「自動車重量税」と「自賠責保険」を車検時に支払うことが大きいだろう。

「自動車重量税」はクルマの車種・重量に応じて課税される国税だ。これは必ず車検の有効期間年数分を先払いしないと車検は受けられない。「自賠責保険料」は一般的に強制保険と呼ばれているものだが、公道を走るすべての自動車に強制加入を義務づけているものだ。

継続検査時に必要となる平均的費用(2016年4月1日時点)で見ると、小型自家用乗用車(1500cc、車両重量1トン以下) の場合、検査にかかる手数料1700円(印紙400円、証紙1300円)。自動車重量税2万5200円、自動車損害賠償責任保険(24カ月)2万2470円。合計では4万9370円となる。

その他のも印紙代(自動車検査登録印紙代)や点検料・検査料24カ月点検基本料金といった付随するものがある。これらが一般的にかかる費用になるが、業者によってはその他に洗車料や納車費用を請求する場合もある。このような諸々の費用が加わるため、車検は高いと言われるようだ。

自動車重量税や自賠責保険の代金、印紙代(検査手数料など)といったものは、どの業者が車検を請け負っても最低限の費用はかかる。車検の費用が業者によって異なるのは法定費用以外の部分の差による場合が多いのである。

この業者の「取り分」で見ると、一般的にディーラー車検は費用が高くなる傾向がある。これはディーラーの強みである「純正部品」による交換と修理が行われるからだ。修理や整備を徹底的に行ってくれるので普段からメンテナンスをしない人にはありがたいサービスと言える。

ディーラー車検より安く済ませる方法

その他にも街の整備工場があるが、こちらは大きく分けて「指定工場」と「認証工場」の二種類がある。どちらも車両の分解整備や修理を行うが、工場内で車検が行えるのは「指定工場」のみであり、認証工場の場合は車検を通す為には陸運局へ車を運び検査を受けることになる。

ユーザー車検を実施した場合はどうだろうか。これも陸運局へ出向き認証工場業者と同じように車検を通すことになる。かかる費用は法定費用のみなので、一番安く済む。しかし自分で検査を行うので車両の状態がそれなりに良好である必要があろう。

車検を通すには複数のチェック項目を受け、すべてに合格する必要がある。ひとつでも不合格項目がある場合は、整備をして再び車検を受けるために陸運局まで行くことになる。その他に法定点検である「24カ月点検」を受けるための事務手配が別途必要だ。

これらの事を考えると、一番安く済むユーザー車検は車両の状態を良好に保つ整備を日頃から行っている人しかお勧めできない。

車検費用を安く上げるには、中古パーツを使ったり社外品のアイテムを使用したりすることで、部品代を安く抑えることができる。作業にかかる工賃も安めの傾向がある。

結局、車検は必要なのか

2年に1度の(新車は初回3年)費用をかける日本の車検制度。特に日本車は頑丈でつくりもしっかりしているため、そんなに頻繁に壊れる心配はないように思える。

クルマは家電製品と違い部屋に置いて使うものではない。時速100㎞以上のスピードで走る車が車検を受けないとやはり心配だし、歩行者も安心して道を歩けない。そう考えると、車検制度は必要だろう。

しかし税金や車検を受ける頻度についても、果たして今のままでよいのだろうかという疑問は残る。ひと昔前は社会人になるまでに自動車免許を取ることが当たり前のようにいわれていたものの、最近では免許を取る若者が減っているとも言われている。今後、自動車に関する税金や車検制度についての議論も必要になるのではないだろうか。(ZUU online 編集部)