「天候と政治、世界情勢の話題に目がない」という英国人のイメージをくつがえす調査結果が発表された。回答者2000人のうち、半分以上が「政治や世界情勢について知ったかぶりをしてしまう」と認めたほか、40%が「(わからない時は)話題をすり替えてごまかす」と答えている。

この傾向は若年層になるほど強まり、18歳から24歳に至っては自国の未来を揺るがすBrexitに関する知識も欠落しているなど、英国の行く末に一末の不安を感じる。これは教育云々の問題ではなく、世間の出来事に無関心な大人が増えている点に起因するのだろうか。

無関心な成人が子供の探求心を枯れさせる?

この調査は様々な世界情勢に関する英成人の知識を測定する目的で、英子ども情報雑誌「The Week Junior」が実施したものだ。自国も含め世界情勢にうとい英国人の現状が、調査結果に反映している。

驚くべきことに、世界を巻きこんでの歴史的EU離脱投票後、政府入れ替え劇が世間を騒がしたにも関わらず、現財務大臣の名前を「フィリップ・ハモンド財務大臣」と回答できたのは54%。20%は堂々と「ジョージ・オズボーン財務大臣」と前財務全大臣の名前を挙げた。

55歳以上の層はBrexitに関する関心が強く、EU離脱交渉の規定となるリスボン条約50条について90%以上が「理解している」と答えたほか、82%が「Brexitの本質を理解している」との見解を示した。それに対して若年層はリスボン条約50条を非常に漠然と解釈しており、Brexitの影響に関しても「EU諸国を訪れるのにパスポートが必要になる」程度の反応だ。

他国の情勢になるとお手上げ状態がさらに深刻化し、世界中が注目している米国大統領選挙の二大政党(民主党・共和党)の政策ついて、「十分に語れるぐらいの知識がある」のは全体のわずか15%。3分の1以上が「何を目指しているのか知らない」と答えた。

多くの英国人が現在、知ったかぶりか話題そらしで切り抜けている世界情勢は、「ロシアの対外政策」 「イスラエル、パレスチナ問題」「シリア紛争」「ISIS(イラク、シリアを中心にで活動している武装勢力)」といった政治がらみの問題から、「国際金融市場」「サイバー攻撃」「グラマー・スクール(学力の高い生徒だけを集めた公立学校)の復興」まで広範囲にわたる。

ありとあらゆる情報であふれ返っている現代社会で、知識の欠落が無関心に起因することは否めない。「周囲の物事に関心が薄い」現代病の一種といえるのではないか。

世界情勢に関心を持つということが、政治、経済、金融、環境など分野に関わらず、世界の動きを把握するうえで必要不可欠なのはいうまでもない。世界の動きはどんなレベルであれ、我々の生活に何らかの影響をおよぼす。世界の動きや変化していく様に無関心な人間が増えている現状は、自分の置かれている立場を軽視する傾向が強まっていることを指すのだろうか。

The Week Junior誌の編集者、アナ・バッシー氏は、「無関心な成人が増えていることが、結果的に子供特有の探求心まで枯れさせてしまうのではないか」との懸念を示している。子供は頭に浮かんだ疑問を次々と大人に投げかける。それに対してしっかりとした返答をできる大人の存在の重要性を、バッシー氏は訴えかけている。(ZUU online 編集部)