日経平均予想ジ レンジ 17,109 ~ 17,905 円
今週は、米大統領選でトランプ氏の勝利を受けてリスク回避の売りが加速化、日経平均は16,111円(11/9)まで売り込まれた。しかし、米国では保護主義的な政策への期待感からNYダウは史上最高値を更新し、ドル高が進行。この流れを好感して東京市場では今年最大の上げ幅を記録、週末には一時4/25以来17,600円台を回復した。
海外の焦点
今回のトランプショックは、英国のEU離脱時と同様、直前に楽観論が優勢になったが、「期待の裏返し」での反動も大きかった。市場の動揺は短期間で終わっただけに、トランプショックの織り込みは意外に早く進んだ。
米大統領選でトランプ氏が勝利した背景には、国民の根深い政治不信が窺える。トランプ氏は前月下旬までヒラリー候補に支持率でリードされていた。投票直前にFBIがクリントン氏のメール問題の捜査再開を明らかにしたことが逆転につながった。
トランプ氏は選挙戦で史上最も無謀ともいえる過激な発言を揶揄されたが、大統領になれば公約実現に向けて協力を得るため現実路線に転換せざるを得なくなるとの見方がある。一方、経済政策などの実現可能性には不透明な部分も多いだけに、今後の人事を含め政策遂行が注目される。
国内の焦点
3月期決算企業の9月中間決算発表は今週で一巡する。円高で2017年3月期の予想利益を下方修正する企業が多く、日経平均採用銘柄の今期1株当たり利益は発表前(10/26)の1,185円から減少傾向にあった。
ただ、上方修正企業もあって、11/10現在1,190円に上昇している点は評価される。この利益水準(PER15倍)に見合う適正水準は17,850円前後。足元の日米金利差を背景に更に円安が進行すれば、国内企業の業績改善期待の高まりから業績相場への移行も現実味を帯びる。
来週の株式相場
テクニカル面では、市場の動揺が短期間で収まり、大陽線を引いただけに、9日の急落はイレギュラーと見られる。日経平均は各移動平均線の上方に位置し、さらに全て上向き傾向にあることから上昇基調は変わっていない。特に、200日線が明確に上向いてくれば本格反騰への期待は一段と高まる。
以上、来週は米政策に期待したトランプラリーの持続性を見極める局面と捉えている。日経平均のレンジは、上値は2/1高値17,905円が目処となり、下値は25日線の17,109円が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト