トランプ,中国,投資,貿易,米中関係
(写真=PIXTA)

米トランプ大統領誕生のニュースは、中国の一般紙ではトップニュースにもならなかった。ただし一般の関心薄とは裏腹に、経済界は熱い。トランプ当選直後の11月10日、中国産業海外発展協会秘書長(事務局長)は、中国企業の対米投資の現状と今後の見通しについて経済紙のインタビューに答えた。意欲満々と言うしかない内容である。

中国企業対米投資は増加

中国企業の対米投資は増加傾向にある。トランプ次期大統領は、公約通り米本国の経済発展に本腰を入れるだろう。経済規模の拡大には資金が必要だ。国内だけでまかないきれなければ、国外の資金に頼らざるを得ない。資金力のある中国企業にとって大チャンスである。先日、米国大使館の商務官が当協会を訪れ、中国企業の米国投資を歓迎する旨表明したばかりだ。

中国経済は発展し、投資受入れ国から投資国に回っている。しかし米国投資はまだ高い壁だ。参入を望む者は多く、許可申請にも審議にも時間がかかる。そのためまだ投資した中国企業は少数にとどまる。米国は発達した“完全法制化国家”で、その政策は朝令暮改されることはない。しかし政権交代は、制度改変のきっかけとなり得る。

中国企業の投資は、今後ますます米国の利益にかなうだろう。しかし国家の安全保障政策に関わる業種もあり、一概にはいかない。

例えば、華為(ファーウェイ)の米国進出はストップしている。我々は米国を説き伏せなければならない。銭金では解決しない事情もたくさんあり、世論宣伝工作や、議会に対するロビー活動も重要だ。

トランプ政策はチャンス

トランプ次期大統領は、海外に流出した製造業の就業機会を米国に引き戻す、と公約している。企業の最高所得税率を35%から15%に下げ、米国企業の海外利潤に10%の税を課す、との案も持っている。これらが実現した場合、中国製造業と米国企業の将来にはどのような影響があるだろうか。

トランプ政権は国内就業機会の増加を、特に米国製造業に対して求めるだろう。15%の所得税なら米国生産の利は大きい。しかし本国回帰が容易に実現するとは考えにくい。世界情勢に鑑みて、米国経済を発展させるには海外からの投資受入れは不可欠だ。

中国企業は本当に歓迎されるのか?

すでに家電のハイアール、自動車部品の万向などの中国メーカーは、米国で目覚ましい発展を遂げている。政策が変更され、国内事務手続きが簡素化すれば、中国企業と米国経済のチャンスはさらに拡がる。

ただし国家利益に直結する先端技術関連での参入は難しい。しかし米国先端技術の周縁に、もう中国の技術は迫っている。そして米国は資金不足だが中国は充足している。この2者結合は、すばらしい景色を描くこととなり得る。

この他、米国の老化したインフラ更新にも、中国企業には十分な機会があるだろう。

トランプ政権は現実的対応

最期に、トランプ氏は政治論客から次期大統領へと身分は180度変わった。政客時代の発言は局限性の強いものばかりだ。中米とも経済発展を目指す点では完全に一致している。新政権でも大きな変化は発生しない。と結んでいる。トランプ氏を自信を持って見切っているのだ。

とにかく何ともやる気満々である。派手なパフォーマンスを用いて交渉という次期大統領と、儒教的装飾を押し出して交渉する中国人は、何となく似通っている。案外両者の波長は合いそうである。日本も手をこまねいてばかりいられない。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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