中国,債務,地方政府
(写真=PIXTA)

中国の地方政府の抱える債務は16兆元(日本円250兆円)を超える。国務院はこの莫大な地方政府債務に対処すべく「地方政府性債務風険応急外置預案」を公布した。地方政府の持つリスキーな債務を4つの等級に分類して明確化する。そして分類に応じた処置をとるが、必要とあれば、法をもって地方政府の財政計画を調整できる。

中国の抱える最大リスクの1つ地方債務問題に、中央政府のメスが入る。案の内容を見てみよう。

地方政府の債務を4等級に分類

預案の規定によると、地方政府債務のリスク性質、影響範囲とその予測される危害程度に鑑み、級別に分類する。

㈵級(特大)㈼級(重大)㈽級(較大)㈿級(一般)の4等級である。市や県(中国では県は市の下部)政府の年度一般債務、または特殊債務の支払い利息は、当年の公共予算支出の10%までとし、財政計画はその範囲内で再調整しなければならない。銀行の不良債権管理と全く変らない。

健全性を強調

財政部によると、2015年末における地方政府の債務合計は16兆元に上る。債務の比率は、債務残高と当年の政府総合財力の89.2%になる。これは国際的レッドラインより低く、財政部の責任者は、コントロール可能と述べている。ただし個別案件の局部に潜むリスクの管理は重要である。

国家統計局のGDP計算では、中央政府の債務には10兆6600万元が組みこまれ、国の債務負担率は38.9%となる。EUの警戒ライン60%を下回っている。ここでも健全である、と強調している。

地方債務リスクコントロール

昨年末の全人代における「国務院関干規範地方政府債務管理工作状況的報告」によると、100以上の本市級、400以上の県級政府において債務率が100%を超過していた。また少数だが100%を超えた省もある。

各級地方政府の税収の伸びは緩やかになり、地方政府の財政力は下降している。そのため、偽のPPP(Public-Private-Partnership)モデル(公共私営合作性)をでっち上げ、違法な資金集めを行っている。このような行為を厳格に防止する。

某地方政府財政局の責任者の告白によると、違法な担保による融資や、地方債への違法な転換など、実質はやりたい放題である。

根本的な原因は成績考課にある。ボスの成績を上げ、自らの出世をつかむという集団意識は強烈だ。そのパワーがまた様々な役得を生む。経済下振れのもと、好成績をひねり出すには、錬金術で金を作るしかない。したがってプロジェクトは最初から不健全極まりないものとなる。また過去においては、違法融資や違法起債については結果オーライで、責任を追及されることはなかった。

効果は限定的

問題点は誰の目にも明らかだ。今回の案は、法律法規を明確に示し基準を公示することにより責任者の責任範囲を定めるものだ。当然一定の歯止めを果たすだろう。しかし中国人は、アンダーグラウンドな金銭に関わらせると、天才的な能力を発揮する。金は形を変えて伏流し続けるに違いない。

解決には考課体制の変更が不可欠だ。しかし今の権力機構に、それに代わるエンジンは見当たらない。中国は法律によって変わるような純真なところではない。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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