「デジタル化が親と子の関係のあり方にまで影響している」という、大人がギクリとするような調査結果が報告されている。米ピュー研究所(PwC)が2014年と2015年、二度にわたって実施したサーベイによると、13歳から17歳の子どもをもつ米国の親の大半が子どもの携帯電話やパソコンを定期的にチェックし、SNSやメルアドのパスワードなども把握しているという。
「インターネットに潜む危険性から子供を守りたい」という親心は理解できる反面、プライバシーを意識しはじめる年ごろの子どもにとっては、過度の干渉が裏目にでるのではという懸念も感じる。
4割の親がパスワードも入手「高所得家庭ほど子どものネット利用を把握していない」
61%が「子どものインターネット利用」、60%が「SNSなどのプロフィールや友人関係など」を定期的に監視していると回答。48%は「携帯の発着履歴、メッセージ」などもこまめにチェックしている。
監視、制限サービスを利用している親は16%(携帯電話)から39%(インターネット)と、「自己監視型」よりはるかに少ない。またジオロケーション機能で子どもの居場所を把握している親は16%だ。
子どもの年齢が低いほど、親の監視も厳しくなる。13歳から14歳の子どもの親の68%が自己監視型で、46%がインターネットや携帯へのアクセス制限を予防対策としている。また65%が「罰として携帯やインターネットの利用を禁止したことがある」。
メルアドのパスワードを知っている親は48%。携帯は43%、SNSは35%が把握している。この調査ではパスワードの入手手段(子どもの承認を得ているのかなど)が明確にされていないため、いちがいには判断できないが、コッソリと盗み見しているのであれば、「子どものプライバシーを侵害している」と批判されてもおかしくはない。
「盗み見をするのは、聞いても子どもが教えてくれないから」「プライバシーという概念自体が子どもにはまだ早い」という意見が聞かれる一方で、監視しない派の親からは「普段から自然に会話をしているので、子どものことを信頼している」との声もあがっている。
このサーベイはあくまで親の干渉度を測定することを目的としており、「どちらが子どもにとって適切か」といったのアプローチ法について議論するためのものではない。
しかし高所得の家庭ほど、子どものインターネット、携帯利用について話題にすることが少なく、逆に家族の絆が強いことで知られるヒスパニック系家庭では、インターネットや携帯の利用を含め、様々な事柄についてオープンな会話が日常的に飛び交っていることも判明している。
だからといって高所得家庭の子どもがトラブルに巻きこまれるリスクが高く、ヒスパニック家庭の子どものリスクが低いというわけでもない。あくまで統計上で見られる傾向を通して、デジタル化が「会話の充実度の低下」を加速させていることを、示唆しているものかと思われる。(ZUU online 編集部)