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教育資金の一括贈与制度は、直系尊属からの教育資金の贈与を非課税とする制度で、平成25年4月から平成27年12年までの時限措置です。制度のあらましや利用上の注意点をご説明するとともに、他の贈与税の非課税制度についてご紹介します。


教育資金の一括贈与制度導入の背景

教育資金の一括贈与制度は、日本個人金融資産1500兆円の約6割を60歳以上のシニア世代が保有しているという現状を踏まえ、世代間の資産移転を図るとともに、経済の活性化を図る目的で制定されました。単に贈与税を優遇するだけでは、消費に回らないことも考えられます。贈与税の住宅の購入に対する優遇制度は既に存在するため、子育て世代に負担の大きい教育資金の一括贈与に対する非課税制度となりました。教育資金の贈与が行われれば、子世帯が教育資金として蓄積していた資金の消費も期待できます。 平成27年1月以降の相続では、相続税の基礎控除が縮小されることもあり、孫への贈与が非課税になる制度として、相続税対策としても注目されています。


幼稚園入園から大学卒業までに必要な教育費

教育資金はどのくらい必要とされるのでしょうか。文部科学省の平成24年度の調査で、教育に必要な費用の平均は、幼稚園から高校まで全て公立で500万円、全て私立で1677万円となっています。これに、平成25年度の文部科学省の調査などによる大学4年間の学費を加えると、大学まで全て公立で743万円、全て私立で大学は文系の場合には2063万円です。内訳は、幼稚園3年間で、公立66万円、私立146万円です。義務教育期間では、小学校6年間で、公立は183万円、私立は853万円、中学校3年間で、公立135万円、私立389万円となっています。高校3年間は、公立116万円、私立289万円です。大学4年間では入学金を含んで、国立で243万円、私立文系で386万円、私立理系で517万円です。私立医歯学系の6年間では、2281万円となっています。大学等で下宿が必要な場合には、さらに費用を要します。


教育資金の一括贈与制度のあらまし

教育資金の一括贈与制度とは、祖父母等の直系尊属から30歳未満の子や孫に対して、教育資金の贈与が1人1500万円まで非課税となる制度です。信託会社、銀行、証券会社等に専用口座を開設し、平成25年4月から平成27年12月までに行われる贈与が対象となっています。贈与を受けた人が30歳になったときや死亡したとき、口座の残金がなくなったときに終了となります。

教育資金の範囲は、幼稚園や保育所から、小学校や中学校、高校、大学及び大学院や専修学校、各種学校などに直接支払う費用が対象となります。入園・入学費用や保育料、授業料、施設費、教材費などであり、給食費や修学旅行費用なども含まれます。国内のインターナショナルに関しては、一定の要件を満たしていれば対象となります。海外留学は、学費は対象となりますが、渡航費用や滞在費は一部の例外を除いて対象外です。

学習塾予備校、水泳やサッカーなどのスポーツやピアノや絵画などの文化活動などの習い事に関する費用も含まれますが、500万円が限度とされています。学校に直接支払うのではなく、学用品等で業者に直接支払うもののうち、学校から書面で依頼を受けて支払うものは、こちらの枠に含まれます。学習教材では、本屋で購入したものは含まれず、領収書が発行される塾の教材は対象となります。サッカーのユニフォームも同様に、スポーツショップで個人的に購入したものは含まれませんが、サッカースクールで購入し領収書のあるものは含まれます。教育資金の領収書等は金融機関に提出をし、金融機関がチェックを行い、保管します。