中国,電話,営業,迷惑メール
(写真=PIXTA)

勧誘・セールスの電話やメールに悩まされている人は多い。これらの騒動は一体いつになったら終わるのか?

その答えは、直近における社会の意見を集約した「中華人民共和国消費者権益保護法実施条例」の改正にあると報道された。本当に効果はあるのだろうか。

実施条例を改正

保険、銀行融資、金融債、株式投資、不動産売買、今までにどのくらい不要な広告攻撃を受けてきただろう。さらに、ショッピングセンターやネット通販の販促活動ともなれば、迷惑電話、メールは狂ったように襲いかかる。

360互聯網安全センターの近日発表したデータによると、今年の双11期間(11月1日〜11日)中、スマホ安全対策ソフト「360手機衛士」がカットした迷惑電話は、1日平均1億6000万回、同じく迷惑メールは1日平均9011万通に及んだ。広告、セールスが最多だった。

これは多くの消費者が直面している難題である。消費者権益保護法実施条例を変更すべし、との意見は強い。そこで検討されている内容とは、消費者サイドの明確な同意、または請求がない限り、経営側は消費者の固定電話、移動電話等の通信設備、パソコン等の電子端末に対し、商業性のある、電話またはメールをできない、というものだ。

営業の共同資源

ところで売り手側からの電話やメール営業は、個人情報の漏洩とどのような相関関係にあるのだろうか。一度漏れてしまえば、例えばマンションを購入すると、ただちに内装業者がやってくる。そして建材業者からの電話だ。入居すれば不動産仲介業者から、「家を売りませんか。」との営業である。個人情報は何年もかけて当人の知らないところを反復し、各関連業界企業の共同資源として使われている。

電話営業が主要販促手段の某家具販売会社の営業部長は、目標の顧客に対し、2〜3回から10回まで電話をかけるという。その営業成功率は、いい時で20%である。顧客が煩わしくて電話で話したくない、というときにメールやをSNS使う。

実効性を欠く

消費者保護法実施条例の改正で、こうした業界に、実効性のある規制がかけられるのだろうか。個人情報保護と経営者の主体的責任との相関関係をどう証明すればいいのだろうか。具体的な迷惑メールを提出してもらう、具体的な要求を出す、など具体的な損害認定作業を一歩進める意義はあるだろう。しかし別の問題がある。

湖南省の某法律事務所の見解では、

1 消費者の自己被害証明が煩雑であること。電子証明の難度はとても高い。
2 規定の細目化、例えば消費者の同意前後の時間解釈をどうするか、など細かい課題だらけである。

そして結局、法的拘束力は十分でなく懲罰も微小としか思えない、という。

根本的に何をしても中国人の口を封じることはできない。中国人は何事も交渉によって自分の立ち位置を決めていく。交渉の積み重ねは中国人の人生そのものである。営業のやりとりもその一環として作用し、生きがいという人さえいる。それらを規制する試みは成功しない。

中央政府は欧米を追いかけるあまり、自分が中国人であることを忘れてしまったかのようだ。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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